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アンドレア・シェニエ






オペラ・データ

【作曲】
ウンベルト・ジョルダーノ(1895〜96年)

【初演】
1896年3月28日 ミラノ、スカラ座

【台本】
ルイージ・イッリカ(イタリア語)

【原作】
ジュール・バルビエの戯曲『アンドレア・シェニエ』、ポール・ディモフ『アンドレア・シェニエの生涯と作品』

【演奏時間】
第1幕 30分
第2幕 30分
第3幕 40分
第4幕 15分  合計 約1時間55分



あらすじ

【時と場所】 
1789年、1794年、パリ

【登場人物】
アンドレア・シェニエ(T): 詩人
マッダレーナ(S): コワニー伯爵家の令嬢
カルロ・ジェラール(Br): コワニー伯爵家の召使い、のちに革命政府の徒
ほか

【第1幕】
時はフランス革命期、舞台はフランスの片田舎にあるコワニー伯爵邸。伯爵家の召使いジェラールは貴族の贅沢な生活を嫌悪していましたが、伯爵邸では今日もパーティが開かれています。このパーティの客の一人だった詩人アンドレア・シェニエも、貧困で苦しむ農民を放置する貴族階級に批判的でした。理想を追い求めるシェニエの姿に、伯爵家の令嬢マッダレーナは恋をするのでした。
 
【第2幕】
時は過ぎ、5年後のパリ。フランス革命は頂点に達し、革命政府による恐怖政治が行われています。貴族の召使いだったジェラールは革命政府の中で出世しており、逆に革命によって落ちぶれて身を隠していたマッダレーナを捜していました。ジェラールも彼女のことを愛していたのです。とうとう捜し出したところで、彼女といっしょにいたシェニエに出会います。シェニエは革命に共鳴していたものの穏健派であり、急進派が主流だった革命政府に追われていました。ジェラールはシェニエに、彼が革命政府のブラックリストに載っていることを教え、マッダレーナと共に逃げるように言います。
 
【第3幕】
しかし数日後、シェニエは革命政府に逮捕されてしまいます。急進派に属するジェラールは、シェニエを裁判所に送る告発書にサインしなければならなかったのですが、その行為が理想高き革命のためではなく、もう一度マッダレーナに会いたいという自分の欲望のためではないだろうかと、思い悩みます。そして案の定、ジェラールのもとへマッダレーナが現れます。そして、何でもするからシェニエを助けてほしいと懇願するのです。彼女の愛の深さに心を打たれたジェラールは自分の恋をあきらめ、裁判ではシェニエを弁護します。しかし、その甲斐もなくシェニエに死刑の判決が下されました。
 
【第4幕】
サン・ラザールの監獄。シェニエは辞世の詩を詠んでいます。マッダレーナは、監獄の看守を買収して、シェニエといっしょに死刑になる予定だった女性と入れ替わります。そして愛し合う二人は、いっしょに断頭台の露と消えたのでした。



解説(ポイント)

【1】 ヴェリズモ(写実主義)オペラの名作
 
この『アンドレア・シェニエ』というオペラは、オペラ史の中でヴェリズモ・オペラと呼ばれています。「ヴェリズモ」とは、写実主義のことで、ストーリーは日常生活に密着した現実の生々しい事件を題材にしています。『アンドレア・シェニエ』は、フランス革命期の血なまぐさいドラマがくっきりと描き出されています。
 
【2】 アンドレア・シェニエは実在した人物
 
主人公のアンドレア・シェニエはフランス革命期に活躍した実在の詩人です。彼の書いた詩は、オペラの中でも第1幕と第4幕のアリアの歌詞の一部として使われているのです。オペラと同じく急進派に捕らえられ、31才の若さで処刑されました。ただし、マッダレーナとの恋物語やジェラールという人物の存在は、作り話です。
 
【3】 味わい深いアリア
 
アンドレア・シェニエが歌う第1幕と第4幕のアリアは、大変美しい曲で人気があります。また第3幕で革命思想と自分の恋との間で思い悩むジェラールのアリアは、作曲技術的にも優れていて、このオペラの白眉と言ってもいいでしょう。また、シェニエとマッダレーナの愛の二重唱など、聴きどころが多い作品となっています。



おすすめディスク

【CD】
パタネ指揮
ハンガリー国立管弦楽団、合唱団
カレーラス(T) マルトン(S) ザンカナロ(Br)
(録音1986年、SONY CLASSICAL)
 
題名役のカレーラスは真摯な歌唱でこの役にぴったり。マルトンのドラマティックな歌唱、ザンカナロの硬質な声とともにイタリア人指揮者ジュゼッペ・パタネの棒によって、このオペラのヴェリズモ的色彩が強く表現されています。







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