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青ひげ公の城

A kékszakállú herceg vára
Bluebeard's Castle






オペラ・データ

【作曲】
ベーラ・バルトーク 1911年に作曲

【初演】
1918年5月24日 ブダペスト、国立歌劇場

【台本】
ベーラ・バラージュ(ハンガリー語)

【原作】
シャルル・ペローの童話『青ひげ』

【演奏時間】
全1幕 約1時間



あらすじ

【時と場所】 
古き昔、青ひげ公の城の広間

【登場人物】
青ひげ公(Br) 
ユディット(S): 青ひげ公の妻 
ほか

【第1幕】 
時は古き昔、舞台は青ひげ公の城。家族に反対されながらも、青ひげ公に嫁いだユディットは、彼の城に入ります。窓がなく日の光も入らないその城には、誰も見てはならないとする7つの黒い開かずの扉がありました。ユディットは、青ひげ公とともに、その扉を一つずつ開けていきます。

第一の扉は「拷問の部屋」。その部屋の存在にユディットは怖がりますが、次の扉も開けようとします。青ひげ公になぜ扉のカギを欲しがるのかと問われ、ユディットは彼のことを愛しているからと答えました。

第二の扉は「武器庫」。どの武器にも血が付いています。第三の扉は「宝物庫」。しかし、その宝石にも血が付いていました。第四の扉は「花園」。その白薔薇の根元にも血が付いています。第五の扉は「広大な領地」。しかし、空には血のように赤い雲があります。第六の扉は「涙の湖」。とうとうユディットは、青ひげ公に今まで愛した女たちのことを尋ねます。そして真実を知るためにも、最後の扉を開けることを求めました。

第七の扉は「3人の死んだ妻たち」。そこに生きている美しい3人の女が現れます。青ひげ公はユディットを第七の扉に誘い、彼女は3人の女とともに中に入っていきました。青ひげ公はゆっくりと扉を閉め、城は再び暗闇に覆われたのでした。



解説(ポイント)

【1】 ハンガリーにおける近代オペラ
 
このオペラは、ハンガリーの作曲家バルトークの唯一のオペラです。バルトークはハンガリーのオペラを創作しようとしていました。同じ志をもっていた同郷のバラージュが、青ひげの物語から台本を作成しましたが、それを最初に手にしたのはバルトークとも友人だったコダーイでした。しかし、彼はこの作品のオペラ化を断りました。バルトークは、ハンガリーで開催された一幕もののオペラ作曲コンクールに応募するため、この台本でオペラを作曲しました。コンクールでは入賞できませんでしたが、7年後に初演され、第二次世界大戦後、欧米の各地で上演されるようになりました。
 
【2】 人間の心の奥底にあるもの
 
この不思議なオペラは、バルトークの弟子による解説では、青ひげ公の城にある扉を開けていくユディットは、男性への献身によって自身を犠牲にしてしまう女性、青ひげ公は、一人の女性では決して満たされない孤独な男性が描かれているそうです。人間の心の奥底のことを城の扉に例えて、そしてその扉を一つずつ開けていく不気味なストーリーが展開されます。
 
【3】 開けてはならない7つ目の扉
 
ユディットは扉を1つずつ開けていくのですが、「最後の扉は開けてはならない」という7つ目の扉を開けたとき、ユディットの眼前に、青ひげ公の3人の前妻が現れる場面は衝撃的です。主に青ひげ公とその妻のユディットが歌い、登場人物が少なく、動きも少ないということで、演奏会形式でも十分楽しむことができるオペラです。その点では人間の内面を描き、そしてそれを聴くオペラだと言えるでしょう。



おすすめディスク

【CD】
ブーレーズ指揮
シカゴ交響楽団
ポルガル(Br) ノーマン(Ms)
(録音1993年、Deutsche Grammophon)
ハンガリーのバス歌手ポルガルの声が非常に艶やか。ノーマンの表現も申し分ない。ブーレーズの冷徹な青ひげ公の城です。


【DVD】
フィッシャー指揮、メガヘイ監督
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ロイド(Bs) ローレンス(S)
(録音1989年、Warner Classics)
舞台ではなく、映画としての全曲盤です。しかし、非常に作品理解を助けてくれます。おすすめの映像です。







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