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Die Entführung aus dem Serail
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【作曲】
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (1781~82年に作曲)
【初演】
1782年7月16日 ウィーン、ブルク劇場
【台本】
ゴットリープ・シュテファーニエ(ドイツ語)
【原作】
クリストフ・フリードリヒ・ブレッツナーの台本『ベルモンテとコンステンツェ、または後宮からの逃走』
【演奏時間】
第1幕 40分
第2幕 60分
第3幕 40分 合計 約2時間20分
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【時と場所】
18世紀頃、トルコの地中海沿岸
【登場人物】
コンスタンツェ(S): スペイン貴族の娘
ベルモンテ(T): コンスタンツェの婚約者
ブロンデ(S): コンスタンツェの侍女
ペドリルロ(T): ベルモンテの家来
オスミン(Bs): 後宮の番人
セリム(語り): トルコの太守
ほか
【第1幕】
時は18世紀頃、舞台はトルコの地中海沿岸。スペインの貴族ベルモンテは、家来のペドリルロから手紙をもらい、トルコの太守セリムの宮殿の入口までやってきました。手紙によると、ベルモンテの恋人コンスタンツェは、航海中に海賊に襲われて捕虜となり、トルコの太守セリムに売られて、この宮殿に連れてこられたというのです。ベルモンテは宮殿の門前で家来のペドリルロと落ち合います。ペドリルロは主人のことを著名な建築家として紹介し、番人のオスミンが怪しむ中、宮殿の中に入り込むことに成功しました。
【第2幕】
この老いた番人オスミンは、コンスタンツェの侍女であるブロンテに手を出していました。しかし、ブロンテは、同じく捕らわれたペドリルロと恋仲であり、オスミンには見向きもしません。他方、太守セリムは、自分を愛するようにとコンスタンツェに命じますが、彼女はこれを拒絶します。ペドリルロは、オスミンにお酒を飲ませて眠らせ、コンスタンツェの前にベルモンテを連れてきます。二人は再会を喜びました。
【第3幕】
夜中の12時まで待って、彼らはコンスタンツェの部屋の窓にはしごをかけ、また、ブロンテの部屋にもはしごをかけ、4人で宮殿から逃走を試みます。そのとき、目を覚ましたオスミンが現れ、4人は捕まってしまい、太守セリムの前に引き出されました。このとき、太守セリムにとって、ベルモンテの父が、かつて財産を奪った宿敵であったことが発覚します。絶体絶命の状況でしたが、セリムは復讐しようとはせず、これに善行をもって報いようとして、4人を釈放する判断を下しました。4人は歓喜するとともに、人間の偉大な徳を讃えたのでした。
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【1】 ドイツのオペラ事始め
このオペラは、曲と曲の間が台詞でつながれているジングシュピールの先駆的な作品です。この後にジングシュピールは、『魔笛』『フィデリオ』『魔弾の射手』などの傑作オペラが続くことになります。ドイツ語による『バスティアンとバスティエンヌ』を12歳で作曲したモーツァルトは、トルコの後宮から逃げ出す内容の『ツァイーデ』を作曲しようとしていました。故郷ザルツブルクの大司教の元を去り、ウィーンに拠点を移していたモーツァルトは『ツァイーデ』の作曲を止め、同じトルコを舞台にした『後宮からの逃走』の作曲を開始し、こちらは完成までたどり着きました。
【2】 ウィーンに出てきたモーツァルト
モーツァルトは1782年7月16日の初演の後、8月4日にソプラノ歌手のコンスタンツェ・ウェーバーとウィーンのシュテファン寺院で結婚式をあげました。このオペラのヒロインがコンスタンツェという名前なのは偶然でしょうか。この初演に立ち会った時の皇帝ヨーゼフ2世が、観劇後、音符が多すぎると言ったのに対し、モーツァルトが音符はちょうど必要な量が使われていると主張したというエピソードが有名です。
【3】 モーツァルト・オペラの名作の一つ
モーツァルトの音楽的才能が遺憾なく発揮されたこのオペラ。例えば、アリアとしても第1幕でベルモンテが歌うテノールのアリア「コンスタンツェ、君に再び会えるのか」"Konstanze, dich wiederzusehen, dich!"や、第2幕でコンスタンツェが歌うソプラノのアリア「どんな責め苦があろうとも」"Martern aller Arten"など、美しく流麗な音楽を聴くことができます。また、オペラに重要な味を加えている番人オスミンが歌う第1幕のリート「気立てがよくて、浮気でなくて」"Wer ein Liebchen hat gefunden"や、第3幕のアリア「おお、私は勝どきを挙げるのだ」"Ha, wie will ich triumphieren"なども大いに楽しめます。
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【CD】
クリスティ指揮
レザール・フロリサン
シェーファー(S) ボストリッジ(T) プティボン(S) ペイトン(T) ユーイング(Bs)
(録音1997年、ERATO) |
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クリスティとレザール・フロリサンであるならば、この引き締まった音楽。それに実力派の歌手たちが揃っています。
【DVD】
ベーム指揮、エヴァ―ディング演出
バイエルン国立歌劇場管弦楽団、合唱団
グルベローヴァ(S) アライサ(T) グリスト(S) オルト(T) タルヴェラ(Bs)
(録画1980年、Deutsche Grammophon) |
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ベームによる古典的なモーツァルト・オペラを楽しめます。歌手陣もグルベローヴァをはじめとして充実した歌唱を聴かせます。
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