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ラ・ボエーム






オペラ・データ

【作曲】
ジャコモ・プッチーニ(1893〜96年)

【初演】
1896年2月1日 トリノ、テアトロ・レッジョ

【台本】
ルイージ・イッリカ、ジュゼッペ・ジャコーザ(イタリア語)

【原作】
アンリ・ミュルジェの小説『ボヘミアンたちの生活情景』

【演奏時間】
第1幕 30分
第2幕 20分
第3幕 25分
第4幕 25分  合計 約1時間40分



あらすじ

【時と場所】 
1830年頃、パリ

【登場人物】
ロドルフォ(T): 詩人
ミミ(S): お針子
マルチェッロ(Br): 画家
ムゼッタ(S): マルチェッロの元恋人
ショナール(Br): 音楽家
コルリーネ(Bs): 哲学者
ほか

【第1幕】
時は1830年頃、舞台はパリ。あるアパートの屋根裏部屋で、ボヘミアンと呼ばれる芸術家の卵たち、詩人ロドルフォ、画家マルチェッロ、音楽家ショナール、哲学者コルリーネが貧しいながらも陽気に共同生活をしていました。クリスマス・イブの夜、ショナールがたまたま稼いできたお金で4人は街に繰り出そうと意気投合しますが、詩人ロドルフォだけは原稿を仕上げてから行くことになり、ほかの3人は先に出ていきます。
そこへ、ロウソクの火をもらいに隣人のお針子ミミがやって来ますが、ミミは戸口で鍵を落としてしまった上、風でロドルフォのロウソクも消えてしまいます。暗闇の中、手探りで鍵を探す二人の手がふれあい、二人は恋に落ちたのでした。
 
【第2幕】
クリスマス・イヴで賑わうパリ。ロドルフォは、カフェ・モミュスで先に愉しんでいた仲間3人にミミを紹介します。
そこへ今度は画家マルチェッロのかつての恋人ムゼッタが現れます。始めはぎこちなかったものの、再度お互い惹かれあった二人はよりを戻します。そして、4人のボヘミアンと2人の娘は、ムゼッタのパトロンだった男に勘定を押しつけて、笑って帰宅したのでした。
 
【第3幕】
年は明けて、2月。マルチェッロとムゼッタが働く酒場に、ミミが訪れます。ミミはマルチェッロに、自分の恋人ロドルフォが最近冷たいことを相談しにきたのです。そこにロドルフォが現れたのでミミは物陰に隠れましたが、彼がマルチェッロに「ミミを愛しているが、彼女は結核を患っており、貧乏の自分には面倒が見切れない。別れる方がいい」と言うのを聞いてしまいます。ミミがいるのに気づいたロドルフォは彼女に駆け寄ります。二人は愛を確かめ合いながらも、お互いのために別れる決心をしました。
一方のマルチェッロも浮気の多いムゼッタと口論になり別れてしまいます。
 
【第4幕】
しばらくして元の屋根裏部屋。相変わらずボヘミアンの4人は貧しいけれど陽気に暮らしています。そこへ、ムゼッタが瀕死のミミを連れて駆け込んできます。ミミは愛するロドルフォの元で最期を迎えたいと望んだのでした。彼女のために薬を買おうと、仲間たちはお金の工面に出掛けていきます。二人きりになったロドルフォとミミは、楽しかった日々を語り合いました。そして、みんなの帰りを待っていたかのようにミミは静かに息を引き取ります。部屋にはミミの名前を叫ぶロドルフォの声がこだましたのでした。



解説(ポイント)

【1】 ボヘミアンの青春、愛、そして死
 
『ラ・ボエーム』とは、「ボヘミアン」のことです。1830年当時のパリに多くいた芸術家の卵たちはみな貧しく、けれども、みな希望に胸あふれ、生き生きと過ごしていました。そんなボヘミアンの特別でない日常的な風景を、このオペラは描き出しています。作曲したプッチーニも20代で故郷ルッカからミラノに出て、苦学に励んでいたことから、このオペラに特別な愛着があったと言われています。
 
【2】 プッチーニの音楽と恋の魔力
 
何と言っても有名なのは、ロドルフォとミミが恋に落ちるシーンです。暗闇の中、先に鍵を拾ったロドルフォは、それをポケットに入れ、再び鍵を探すふりをして、ミミの手を握ります。このとき歌われるロドルフォのアリア「冷たい手を」と、続けてミミが自分のことを歌うアリア「私の名はミミ」の2つのアリアで、二人は強烈に引きつけられました。このアリア2曲で恋に落ちる二人。プッチーニの音楽に酔ってしまいそうです。
 
【3】 泣かずにはいられないラスト・シーン
 
そして、最後には悲しくもミミが仲間に見守られながら死んでしまいます。ミミが息を引き取ったことをロドルフォは、ほかの仲間の顔を見て気づくのです。なんでそんな顔をしてるんだ?、どうして俺のことを見るんだ?、と。オペラはロドルフォがミミの名を2回叫んで幕となります。劇的な幕切れは、きっと多くの人の心を揺さぶることでしょう。



おすすめディスク

【CD】
パッパーノ指揮
フィルハーモニア管弦楽団、ロンドン・ヴォイセス
アラーニャ(T) ヴァドゥーヴァ(S) ハンプソン(Br) スウェンソン(S) キーンリーサイド(Br) レイミー(Bs)
(録音1995年、EMI CLASSICS)
 
アラーニャを始め、ボヘミアン4人を歌う男声歌手陣が望み得る最高のキャスティングとなっています。イタリア人を両親に持つ指揮者パッパーノは、この頃からメキメキと頭角を現しますが、このディスクでも新鮮な音楽を奏でています。


【CD】
メータ指揮
イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、フィレンツェ五月音楽祭合唱団
ボチェッリ(T) フリットリ(S) ガヴァネッリ(Br) メイ(S) デ・カロリス(Br) ルペーリ(Bs)
(録音1999年、DECCA)
 
盲目のテノールとして世界で人気のあるアンドレア・ボチェッリを売りにしたディスクですが、他の共演者も超一流の歌手を揃え、聴きやすく、内容もいいディスクとなっています。特にフリットリ、メイの女声陣の歌唱は魅力的。メータも全体をうまくまとめ上げています。







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