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【作曲】
ガエターノ・ドニゼッティ (1840年に作曲)
【初演】
1840年12月2日 パリ、オペラ座(フランス語版)
1842年6月 パドヴァ(イタリア語版)
【台本】
アルフォンス・ロワイエとギュスターヴ・ヴァエーズの台本にウジェーヌ・スクリーブが加筆(フランス語)
【原作】
バキュラール・ダルノーの戯曲『コマンジュ伯爵』
【演奏時間】
第1幕 40分
第2幕 30分
第3幕 35分
第4幕 35分 合計 約2時間20分
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【時と場所】
1340年、スペイン
【登場人物】
アルフォンソ11世(Br): カスティーリャ国王
レオノーラ(Ms): 国王の寵姫
フェルナンド(T): 若き修道士
バルダッサッレ(Bs): 修道院長、フェルナンドの父
ほか
【第1幕】
時は1340年、舞台はスペインのカスティーリャ王国。聖ジャコモ修道院の若き修道士フェルナンドは、祭壇で祈りを捧げていた美しい女性にひと目惚れします。修道院長でもあり、フェルナンドの父でもあるバルダッサッレは、息子の想いを愚かで苦しみを導くものとして非難し、修道院から立ち去るように命じました。レオン島を訪れたフェルナンドは、祭壇で祈っていた女性レオノーラと再会します。二人は恋に落ちますが、レオノーラは名前と身分を明かしません。むしろこのままでは、二人の行く末が不幸で終わることを予感して、彼には戦場に向かうように促しました。
【第2幕】
舞台はセヴィリアのアルカサル宮殿。レオノーラは国王アルフォンソ11世と愛人関係にありました。しかし、レオノーラの心がすでに離れていることをアルフォンソは感じ取っています。二人の元に、修道士を従えた修道院長バルダッサッレが現れます。そして、寵姫としてレオノーラを抱える国王を非難します。バルダッサッレは王妃の父でもあったのです。
【第3幕】
戦場でイスラム軍を破り、武勲を立てたフェルナンド。国王はその功績に報い、望むものを与えると言います。そこにレオノーラが現れると、フェルナンドは彼女を愛していることを明かしました。国王はフェルナンドに爵位を与え、1時間後にレオノーラと結婚式を挙げるように命じます。式の後、フェルナンドの前に父バルダッサッレが現れ、息子にレオノーラは国王の愛人だったことを伝えると、フェルナンドはその不名誉に憤慨し、剣を折って二度と国王のために戦わないと告げ、宮殿から立ち去りました。
【第4幕】
聖ジャコモ修道院では、院長のバルダッサッレが、娘である王妃が早世したことを嘆いています。息子のフェルナンドも側にいます。修道院の祭壇には、重い病の身となった者が祈りを捧げつつ倒れていました。それは病身のレオノーラでした。フェルナンドは彼女に出ていくように言いますが、レオノーラは、結婚式の前に自分が国王の愛人ということを侍女が明かそうとしたが、侍女が国王の部下に捕らえられ、真実がフェルナンドに伝えられなかったことを明かし、彼に許しを請います。フェルナンドは彼女との愛の日々を思い出し、二人で共に歩むことを決心しました。しかし時すでに遅く、その場でレオノーラは力尽きたのでした。
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【1】 円熟期のドニゼッティによる代表作
ベルカント・オペラの巨匠ドニゼッティが、ロマン派の時代真っ盛りにパリで作曲したのが、この『ラ・ファヴォリータ』です。最初はフランス語で作曲され、パリで初演されましたが、その後イタリアでも様々なタイトルで上演されるなど、いくつものバージョンが存在します。特に元のフランス語版をイタリア語に翻訳する際に、検閲を通すためにストーリーが改変された経緯があります。しかし、イタリア・オペラとして全世界に広まり、近年、フランス語版が原典として尊重されるようになりました。上記のあらすじは、日本のオペラ受容になじみがあるイタリア語版です。
【2】 登場人物が錯綜する壮大な物語
時代ものの壮大な物語に、登場人物の感情表現が加わり、ドニゼッティの多くのオペラ作品の中でも、非常に見ごたえ、聴きごたえのするオペラです。「ラ・ファヴォリータ」とは、訳そうとすれば寵姫の意味。オペラでは、王妃の亡きあとに、国王の元に後妻とはなれず、愛人として囲われたレオノーラ・ディ・グスマンのことを指します。そのレオノーラと恋に落ちる若き修道士フェルナンドに加え、国王としてアルフォンソ11世が活躍します。修道院長としてバルダッサッレも加わり、個性的な登場人物が錯綜して、壮大な物語が展開するのです。
【3】 ベルカント・オペラのアリアの競演
壮大な物語の中で、とっておきのアリアが聴けるのが、ベルカント・オペラの真髄でしょう。テノールが歌うフェルナンド役は、第1幕のアリア「天使のような乙女」"Una vergine, un'angel di Dio"や、第4幕のアリア「優しい心よ」"Spirto gentil de'sogni miei"を歌い上げます。バリトンが歌うアルフォンソ11世役には、第2幕に大きなアリア「来なさい、レオノーラ」"Vien, Leonora!"があります。第3幕では、まずアルフォンソが「大きな愛に応えよ」"A tanto amor"を歌い、続けてレオノーラが「ああ、私のフェルナンド」"O mio Frnando"と「私の苦悩は天に刻まれている」"Scritto in cielo è il mio dolor!"の2つのアリアを歌う大きな場面があります。
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【CD】
ボニング指揮
ボローニャ歌劇場管弦楽団、合唱団
コッソット(Ms) パヴァロッティ(T) バキエ(Br) ギャウロフ(Bs)
(録音1974年、DECCA) |
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パヴァロッティを若き修道士に迎えた名盤の一つ。他の役にも名歌手を揃えており、充実したイタリア語版のファヴォリータになっています。
【DVD】
チチョン指揮、ニーアマイア演出
バイエルン国立歌劇場管弦楽団、合唱団
ガランチャ(Ms) ポレンザーニ(T) クヴィエチェン(Br) カレス(Bs)
(録画2016年、Deutsche Grammophon) |
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なかなか良い映像が現れない中で、フランス語版の現代風演出で手堅い舞台がリリースされました。ガランチャの名演、名唱と言えるでしょう。
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