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夢遊病の女

La Sonnambula





オペラ・データ

【作曲】
ヴィンチェンツォ・ベッリーニ (1830~31年に作曲)

【初演】
1831年3月6日 ミラノ、カルカノ劇場

【台本】
フェリーチェ・ロマーニ(イタリア語)

【原作】
ウジェーヌ・スクリーブ、ジャン・ピエール・オメールのバレエ・パントマイム『夢遊病の女、新しい貴族の到着』

【演奏時間】
第1幕 85分
第2幕 55分  合計 約2時間10分



あらすじ

【時と場所】 
19世紀初頭、スイス

【登場人物】
アミーナ(S): 水車小屋の娘
エルヴィーノ(T): 地主の息子
リーザ(S): 旅籠の女将
ロドルフォ(Bs): 伯爵、この土地の領主の息子
ほか

【第1幕】
時は19世紀初頭、舞台はスイスにある村。水車小屋の娘アミーナは、地主の息子エルヴィーノと婚約していました。旅籠の若い女将リーザは、好きだったエルヴィーノのことをアミーナに奪われて悔しがっています。結婚式の前夜、リーザの旅籠に、長旅から戻った領主の息子ロドルフォ伯爵が宿泊します。宿泊しているのが伯爵と知って、リーザは夜、彼の部屋に行き、色目を使います。そこに何者かが入ってきたのでリーザは隠れましたが、そのときにハンカチを落としていました。伯爵の部屋に幽霊のように入ってきたのは、夢遊状態のアミーナでした。アミーナはその部屋でそのままソファで横になり、眠ってしまいました。朝になり、伯爵の部屋で寝ていたアミーナのことを知って村人が集まり、そのことを知ったエルヴィーノは結婚式を取りやめにしました。

【第2幕】
怒ったエルヴィーノは、アミーナから指輪を取り、結婚を破棄します。彼はリーザと結婚すると言ったので、リーザは大喜びでした。伯爵が、アミーナは夢遊病であり、彼女は潔白だと言ってもエルヴィーノは信じません。しかし、伯爵の部屋に落ちていたリーザのハンカチのことも知って、エルヴィーノは何を信じてよいのかわからなくなります。そのとき、水車小屋の屋根の上を歩くアミーナが現れ、エルヴィーノを含む村人みんなが彼女を見て驚きます。彼女は眠りながら歩き、エルヴィーノへの愛を語っていました。エルヴィーノは、アミーナの手に指輪をはめ、目を覚ました彼女と結婚式を挙げることにしたのでした。



解説(ポイント)

【1】 早熟の天才的作曲家
 
ベッリーニは早熟の天才的作曲家で、25歳のときにはサン・カルロ劇場からオペラ作曲を委嘱されていました。しかし、33歳でその短い生涯を終えることとなります。ベッリーニが残した美しい旋律には、ショパンやワーグナーといった大作曲家も惜しみなく賛辞を与えています。そのベッリーニの代表作が、1831年にミラノで初演された2つのオペラで、本作『夢遊病の女』(カルカノ劇場)と、『ノルマ』(スカラ座)でした。
 
【2】 台本作家とのタッグ
 
ベッリーニのオペラの多くの台本を受けもったのは、フェリーチェ・ロマーニ(1788-1865)であり、ロマーニの台本には多くの作曲家(例えば、ベッリーニだけでなく、ロッシーニの『イタリアのトルコ人』、ドニゼッティの『愛の妙薬』『アンナ・ボレーナ』)が音楽を施し、名作オペラを完成させました。ベッリーニとは、彼の出世作『海賊』で意気投合し、7つのオペラをロマーニの台本で作曲しています。『夢遊病の女』は牧歌的な雰囲気の中で、哀愁を帯びた物語の展開がベッリーニの旋律とマッチして、優しく美しいオペラが出来上がっています。
 
【3】 名旋律は永遠に
 
第2幕でアミーナが夢遊状態で屋根を歩いた後、エルヴィーノからもらった花がしぼんでしまったことを、彼の愛が1日で失われたことに重ねてアミナ―が打つカヴァティーナ「ああ、こんなに早くしぼんでしまったのを見るのは信じられない」"Ah non credea mirarti sì presto estinto"が最大の聴きどころです。カターニャにあるベッリーニの墓碑には、このカヴァティーナの冒頭部分の楽譜が刻まれています。



おすすめディスク

【CD】
ボニング指揮
ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン・オペラ・コーラス
サザーランド(S) パヴァロッティ(T) ブキャナン(S) ギャウロフ(Bs)
(録音1980年、DECCA)
オペラの名歌手たちが揃った『夢遊病の女』の名盤。オペラに必要な歌手の力、音楽の演奏が全て注ぎ込まれています。


【DVD】
オーレン指揮、ティエッツィ演出
フィレンツェ5月音楽祭管弦楽団、合唱団
メイ(S) ブロス(T) ベルタニョッリ(S) プレスティーア(Bs)
(録画2004年、DENON)
現代的な衣裳を着た歌手たちが印象的な舞台を作っています。美しき声、容姿のエヴァ・メイのタイトルロールを堪能できます。







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