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ノルマ






オペラ・データ

【作曲】
ヴィンチェンツォ・ベッリーニ(1831年)

【初演】
1831年12月26日 ミラノ、スカラ座

【台本】
フェリーチェ・ロマーニ(イタリア語)

【原作】
アレクサンドル・スメの悲劇『ノルマ』

【演奏時間】
第1幕 70分
第2幕 60分  合計 約2時間10分



あらすじ

【時と場所】 
紀元前50年頃、ローマ領ガリア地方

【登場人物】
ノルマ(S): 巫女
ポリオーネ(T): ローマのガリア地方総督
アダルジーザ(Ms): 若い尼僧
オロヴェーゾ(Bs): ノルマの父
ほか

【第1幕】
時は紀元前50年頃、舞台は現在のフランス周辺にあたるガリア地方。このときローマ皇帝カエサルによってガリア地方は征服され、ガリアの民衆はローマの圧政に苦しんでいました。民衆はローマとの戦いを望み、巫女ノルマの伝える神のお告げを待っていました。そのノルマですが、密かにこのガリア地方を治めるローマの総督ポリオーネとの間に二人の子供をもうけていたのです。しかし、今ではポリオーネの心はノルマから離れており、彼は若い尼僧であるアダルジーザのことを想っていました。
このとき総督ポリオーネは、命令でローマに帰還することになっていました。そのため、彼はアダルジーザに一緒に帰ろうと誘います。何も知らないアダルジーザは、巫女のノルマに相談しました。これですべてが明るみに出てしまいます。そこに駆けつけたポリオーネが強引にアダルジーザを連れて行こうとしますが、事の次第を知った彼女はついていくことを躊躇し、ノルマは彼の不実を非難しました。
 
【第2幕】
ノルマは二人の子供が寝ているところを殺そうとしますが、そんなことはできません。アダルジーザを呼びつけ、二人の子供を連れてポリオーネと共にローマに行くように言います。アダルジーザは驚きつつも納得し、ポリオーネを説得しに行きました。しかし、彼はそれを拒否したのです。
これでノルマの気持ちは固まりました。ガリアの民衆を集めたノルマは、祭壇に上がりローマと戦うことを宣言すると、民衆は狂喜します。そのときです。アダルジーザに会おうと巫女の神殿に忍び込んだポリオーネが捕らえられ、ガリアの民衆の前に引き立てられたのです。
ノルマは一度、民衆を退け、囚われの身となったポリオーネと話します。アダルジーザのことを忘れれば、命は助けようと。しかし彼はそれを拒み、逆にアダルジーザを助けてやってほしいと頼んだのです。
ノルマは再び民衆を集めました。そして、祖国を裏切った一人の女がいることを明らかにします。民衆から怒号があびせられる中、まさにノルマの口からアダルジーザの名が告げられようとしたとき、ノルマは裏切ったのは自分自身だと宣言します。自らが火刑台に上がろうと言うのです。ノルマの崇高な行為を目前にし、ポリオーネは自分の過ちを後悔します。
ノルマは二人の子供を父オロヴェーゾに託し、火刑台へと歩み始めました。そして、その後をポリオーネも続いたのでした。



解説(ポイント)

【1】 ベッリーニの最高傑作
 
33才という若さで世を去ったベッリーニは、全部で10作のオペラを書きましたが、『ノルマ』は、その中でも最高傑作と言われています。ベッリーニ自身も「すべてを棄ててもノルマは助けたい」と述べていました。しかし、ミラノ・スカラ座で初演されたときには、妨害にあったらしく、成功とは言えない結果となりました。「失敗だった」とベッリーニが書き残しているそうです。その後、何回か公演を続けていくうちに評判が高まり、ナポリ、ベルガモ、ヴェネツィア、ローマで上演され、やがてはベッリーニの代表作とされるもでになりました。
 
【2】 入念に描かれた音楽
 
オペラ『ノルマ』は、カエサルの『ガリア戦記』の舞台であるローマ帝国の属領となったガリア地方のお話です。流麗な旋律を描くベッリーニの手によって、このオペラの聴きどころは多いのですが、ノルマの有名なアリア「清き女神」は8回も書き直されるなど入念な書き込みがなされており、聴き手もじっくりと耳を傾けたいところです。ノルマ以外にも、例えばポリオーネとアダルジーザの二重唱なども聴きどころですし、劇的な合唱を効果的に使うところなどはベッリーニの実力が存分に発揮されています。
 
【3】 ノルマを歌う名歌手
 
タイトルロールのノルマは、このオペラを担う大変重要な役です。この役を歌うソプラノは、完璧なベル・カント唱法で歌えるだけでなく、民衆を導く指導者、小さな子供の行く末を案じる母、そして一人の男を想う女性としての表現力が要求されます。1831年の初演の際にこの役を歌ったのは当時のソプラノの第一人者のジュディッタ・パスタであり、このノルマ役でミラノ・スカラ座にデビューしました。戦後はマリア・カラスがこの役を得意とし、コヴェント・ガーデンやメトロポリタン歌劇場にデビューするときもノルマを歌いました。現代のプリマ・ドンナ、エディタ・グルベローヴァはというと、2003年、57才になって初めて東京において演奏会形式でこの役を歌うなど、慎重にノルマに挑戦しています。



おすすめディスク

【CD】
ハイダー指揮
ラインラント=プファルツ州立フィルハーモニー、ヴォーカル・アンサンブル・ラシュタット
グルベローヴァ(S) マチャード(T) ガランチャ(Ms) マイルズ(Bs)
(録画2004年、NIGHTINGALE)
 
東京でロール・デビューを果たしたグルベローヴァは、その1年後、ドイツでこの役を再び歌い、その演奏会形式のコンサートの機会を得て録音されたのがこのディスクです。もちろんカラスやカバリエ、サザーランドなどの往年の名歌手の歌唱を聴くのもいいのですが、グルベローヴァの実力も堪能してみたいところ。


【DVD】
ビオンディ指揮、アンド演出
エウローパ・ガランテ、ヴェルディ・フェスティバル合唱団
アンダーソン(S) ヨン・フン(T) バルチェッローナ(Ms) アブドラザコフ(Bs)
(録画2001年、TDK CORE)
 
パルマ王立歌劇場のライブ。少し暗い雰囲気ですが、オーソドックスな演出なので見ていて安心かもしれません。オケが少し変わっていて、古楽器による演奏。歌手陣ではバルチェッローナのアダルジーザ役に注目。







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