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サロメ






オペラ・データ

【作曲】
リヒャルト・シュトラウス(1903〜05年)

【初演】
1905年12月9日 ドレスデン、宮廷歌劇場

【台本】
ヘドヴィヒ・ラッハマンの訳を作曲者が改編(ドイツ語)

【原作】
オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』(新約聖書マタイ伝14章、マルコ伝6章より)

【演奏時間】
全1幕 約1時間45分



あらすじ

【時と場所】 
西暦30年頃、イェルサレム

【登場人物】
サロメ(S): 16才の王女
ヘロデ(T): ユダヤの王、サロメの義父
ヘロディアス(Ms): サロメの母
ヨハナーン(Br): 預言者ヨハネのこと
ナラボート(T): ヘロデ王の衛兵隊長
ほか

【全1幕】
時は西暦30年頃、舞台はイェルサレムのヘロデ王の宮殿。サロメは王妃ヘロディアスの娘で、ユダヤ王ヘロデは義父にあたります。このヘロデというユダヤ王は、サロメの実の父でもある兄を殺し、ヘロディアスを自らの妻としていました。
宴の席で、ヘロデ王にいやらしい目つきで見つめられていたサロメは、満月に照らされたテラスに逃れてきました。すると、テラスの地下から不気味な声が聞こえます。ヘロデ王によって隠し井戸に幽閉されていた預言者ヨハナーンの声でした。
この声に興味を持ったサロメは、若い衛兵隊長ナラボートに隠し井戸のフタを開けるよう命じます。王から禁じられているにもかかわらず、ナラボートはサロメの妖艶な美しさに心を奪われ、ヨハナーンを外に出してしまいました。
しかし、井戸から出てきたヨハナーンはサロメの母ヘロディアスの近親婚の罪をとがめるだけで、サロメの誘いには目もくれません。サロメがくちづけを求めると、ヨハナーンは呪われよと言い捨て井戸の底へと戻っていきました。
 
サロメのことを追ってヘロデ王がテラスに出てきて、その後を妻ヘロディアスが続きます。地下からはヨハナーンがヘロディアスを非難する声が聞こえてきますが、気にする妻を尻目にヘロデ王はその声に耳を傾けません。それどころか、ヘロデ王の目は常にサロメに注がれ、サロメに踊ってみせよと命じます。サロメは始めは断っていましたが、ヘロデ王に踊りをみせれば望みのものをやろうと言われると、サロメは「七つのヴェールの踊り」を披露しました。
満足したヘロデ王が、望みは何だと尋ねると、サロメはヨハナーンの首がほしいと言い出します。その言葉に喜ぶ母ヘロディアス。それに対し、聖者を殺すことを恐れたヘロデ王はやめさせようと説得しますが、サロメの望みは変わりません。

銀の皿の上にのせられたヨハナーンの首を持ち上げ、くちづけをするサロメ。その有様を見ていたヘロデ王は兵士達にサロメを殺すように命じたのでした。



解説(ポイント)

【1】 R.シュトラウスの出世作
 
それまで管弦楽曲や歌曲の分野、また、オペラハウスの指揮者として活躍していたR.シュトラウスは、ワーグナーに影響されて作曲した『グントラム』『火難』という2つのオペラの次に、この『サロメ』を発表しました。このオペラは初演から大きな反響を呼びます。このときR.シュトラウスは41才。その後、次々とオペラ史に残る作品を書き上げ、オペラ作曲家としての地位を築き上げます。
 
【2】 スキャンダラスな作品
 
原作のオスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』は、フランス語で出版され、その後、ワイルドの同性愛者の手で英訳されましたが、その作品の不道徳さとワイルド自身のスキャンダルのせいもあって、イギリスではなかなか上演されませんでした。ドイツ語訳をオペラにしたR.シュトラウスの作品も同様に、当初予定されていたウィーンでの初演はできませんでした。当時、ウィーン国立歌劇場の音楽総監督だったマーラーが奔走したにもかかわらず、ウィーンで上演されたのは初演から10年以上もあとのことでした。
 
【3】 物議を醸すサロメの踊り
 
オペラの中では、サロメが踊る「七つのヴェールの踊り」の場面が有名で、サロメ役のソプラノ歌手が裸になるほど過激な演出もあることから、初演以来100年経った現在でも物議を醸しています。例えば、2000年に新国立劇場でこのオペラが初演されたときは、スポーツ新聞にも取り上げられました。サロメは約10分間踊ったあとに長大なモノローグを歌わなければならず、サロメ役を演じきるのは至難の業です。



おすすめディスク

【CD】
シノーポリ指揮
ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団
ステューダー(S) ヒースターマン(T) リザネク(S) ターフェル(Br) ビーバー(T)
(録音1990年、Deutsche Grammophon)
 
指揮者ジュゼッペ・シノーポリが、官能的に、それでもしつこすぎず、すっきりと演奏し、このオペラの魅力を最大限に引き出しています。サロメ役のステューダーが好演。さらにかつてサロメ役の名唱を残したリザネクがヘロディアスで参加。


【DVD】
ドホナーニ指揮、ボンディ演出
コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団、合唱団
マルフィターノ(S) リーゲル(T) シリヤ(Ms) ターフェル(Br) ギャンビル(T)
(録音1997年、DECCA)
 
やはりサロメの「七つのヴェールの踊り」を見るために映像をということなら、このドホナーニ盤があります。演技派のマルフィターノのサロメ役が見どころですが、十分な実力をつけたターフェルのヨハナーン役もすごい。







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