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ルクレツィアの凌辱

The Rape of Lucretia





オペラ・データ

【作曲】
ベンジャミン・ブリテン(1945~46年)

【初演】
1946年7月12日 グラインドボーン音楽祭

【台本】
ロナルド・ダンカン(英語)

【原作】
アンドレ・オベイの戯曲『リュクレースの凌辱』

【演奏時間】
第1幕 40分
第2幕 60分  合計 約1時間40分



あらすじ

【時と場所】 
紀元前500年頃、ローマ

【登場人物】
ルクレツィア(A): コラティヌスの妻
タルキニウス(Br): エトルリアの王子
コラティヌス(Bs): ローマの将軍
ユニウス(Br): ローマの将軍
男の語り手(T)
女の語り手(S)
ほか

【第1幕】
時は紀元前500年頃、舞台はローマ。このときローマはエトルリアの支配下にありました。国境の陣営で、ある夜、エトルリアの王子タルキニウスと、ローマの将軍のユニウスとコラティヌスの3人がお酒を飲み交わしています。話題は、家に残してきた将軍の妻たちのこと。どの妻たちも、夫が戦争に出ている間、不貞を働いていましたが、コラティヌスの妻ルクレツィアだけは夫のことを一途に待っており、そのことにタルキニウスもユニウスも感心しています。一方でタルキニウスは、ルクレツィアの貞節を自ら試したいとの衝動から、そのまま馬に飛び乗り、ローマに帰ります。そして、深夜に、ルクレツィアの家にたどり着き、ドアをノックしました。ルクレツィアとその召使いたちは困惑しながらも、王子として丁重に彼を迎え入れます。

【第2幕】
夜、召使いたちが寝静まった頃、タルキニウスはルクレツィアの寝室に入り、眠る彼女の唇を奪います。目が覚めたルクレツィアは彼を拒絶しますが、タルキニウスは剣を抜き、彼女に迫りました。翌朝、すでにタルキニウスが立ち去った後、ルクレツィアは召使いたちに、すぐ夫に帰宅するように使いを出すよう命じました。馬を飛ばして戻った夫のコラティヌスに、妻のルクレツィアは昨夜の出来事を告白し、そのまま自らの命を絶ったのでした。



解説(ポイント)

【1】 オペラ作曲家ブリテン
 
ブリテンは『ピーター・グライムズ』の成功により、イギリスから待望のオペラ作曲家が出たと認知されました。その後、多くの傑作オペラを生み出すことになります。『ピーター・グライムズ』から1年後に、2番目のオペラとしてグラインドボーン音楽祭で初演されたのが、このオペラ『ルクレツィアの凌辱』です。
 
【2】 室内オペラ
 
当時、グラインドボーンのオペラハウスの客席数は600席で、ブリテンは『ルクレツィアの凌辱』を室内オペラとして作曲しました。その構成は、8名の歌手と各楽器1名ずつの12名の奏者による室内オーケストラ、それにピアノを受け持つ指揮者です。ブリテンの手により作曲されたこのオペラは、各奏者によって一つ一つの旋律が折り重ねられ、鮮やかな音楽が目前に広がります。
 
【3】 歴史絵巻を紐解く
 
このオペラは、共和制ローマ設立の物語に基づいています。このオペラの事件の後、ルキウス・ユニウス・ブルトゥスがローマの人々を鼓舞し、ローマを支配していた国王タルキニウスとその一族を追放し、共和国を建設しました。このオペラは、珍しく男女一人ずつの語り手が、舞台の両袖に座ってドラマの進行や登場人物の心情を物語ります。ギリシャ古典劇を意識した中で、洗練されたブリテンの音楽とともに、歴史絵巻を紐解く楽しみがあります。



おすすめディスク

【CD】
ブリテン指揮
イギリス室内管弦楽団
ベイカー(A) ラクソン(Br) シャーリー=カーク(Bs) ドレイク(Br) ピアーズ(T)
(録音1970年、DECCA)
作曲者のブリテンによる自作自演。室内オペラの細やかな表現に耳を澄ましてみればブリテンのオペラの世界に浸れます。







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