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【作曲】
ジュゼッペ・ヴェルディ(1870〜71年)
【初演】 1871年12月24日 エジプト、カイロ歌劇場
【台本】 アントニオ・ギスランツォーニ(イタリア語)
【原作】
オーギュスト・マリエット・ベイの草稿に基づくカミーユ・デュ・ロークルのフランス語の台本
【演奏時間】
第1幕 45分
第2幕 45分
第3幕 30分
第4幕 40分 合計 約2時間40分
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【時と場所】 古代エジプト、メンフィス
【登場人物】
アイーダ(S): エジプトに捕らわれたエチオピアの王女
ラダメス(T): エジプトの将軍
アムネリス(Ms): エジプトの王女
アモナスロ(Br): エチオピア国王、アイーダの父
エジプト国王(Bs)
ほか
【第1幕】
時は古代エジプト、舞台はその首都メンフィス。エジプトの敵国エチオピアの王女アイーダは、エジプトの捕虜となっていましたが、身分を偽ってエジプトの王女アムネリスの奴隷として身の回りの世話をしています。そしてアイーダは、エジプトの将軍ラダメスと秘かにお互い愛し合う仲となっていました。そんな中、将軍ラダメスは、エチオピア討伐の指揮官を命じられます。アイーダは恋人への愛と祖国への想いに葛藤を生じて思い悩むのでした。
【第2幕】
一方、エジプトの王女アムネリスもラダメスのことを愛していました。彼女は、戦場に向かったラダメスを心配する侍女のアイーダを見て、恋敵であることを確信しました。
戦いはエジプトの勝利に終わり、エジプト国王は凱旋したラダメスに、娘のアムネリスを与え、将来自分の後を継ぐように言います。アムネリスは喜んだものの、ラダメスは困惑し、そしてアイーダも悲しみに暮れるのでした。
【第3幕】
戦いでエジプトの捕虜となった者の中に、エチオピア国王のアモナスロが身分を隠して加わっていました。アモナスロは娘のアイーダに、ラダメスからエジプト軍の機密情報を聞き出すように強要しました。
アイーダはラダメスと会ったとき、国を捨てて二人で一緒に暮らそうと誘います。ラダメスも思いを同じくし、エジプト軍が配備されていない「ナパタの谷」を行けば誰にも会わずに逃げられるとアイーダに伝えます。そのとき、この話をこっそり聞いていたアモナスロが、自分がエチオピア王であることを明かし、その「ナパタの谷」からエジプトを攻めようと言い出します。ラダメスは焦ります。そこへアムネリスが現れたのですが、ラダメスはアイーダとその父を逃がしてやりました。
【第4幕】
軍事機密を漏らしたラダメスは死罪となります。彼の命だけは救いたい王女アムネリスは、アイーダへの想いさえ捨てれば命を助けると彼に言います。しかし、ラダメスはそれを断り、死を覚悟しました。
ラダメスは地下牢に生き埋めとされます。その暗闇の牢に、なんとアイーダの姿がありました。彼女は牢が閉じられる前に忍び込んでいたのです。二人は抱き合いながら、静かに死を待ったのでした。
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【1】 エジプトを舞台にした有名オペラ
およそ10年の歳月を掛けて完成したスエズ運河の開通を祝って、エジプトに建設されたカイロ歌劇場のこけら落としのためにヴェルディに委嘱されてできたのが、この『アイーダ』です。様々な理由から、結局、こけら落としには間に合わなかったものの、完成されたオペラは、エジプト情緒たっぷりのすばらしい作品に出来上がり、現在でも世界中で最も上演されているオペラのうちの一つとなっています。
【2】 凱旋行進曲を始めとするスペクタクル・オペラ
『アイーダ』といえば、なんといっても有名なのが「凱旋(がいせん)行進曲」。この曲がサッカーの応援にも使われているのは、よく知られたことです。第2幕、ラダメスが戦争に勝ってエジプトに凱旋するこのシーンは、大がかりなセットで豪華絢爛な舞台が作り出され、いかにも壮大なオペラのイメージが味わえます。本物の馬に乗った騎馬隊が舞台の上に現れることもあります。客席で観ていて実に贅沢な気分を味わうことができるでしょう。
【3】 細やかな感情描写
エジプト、凱旋、といったキーワードや、ヴェルディ後期の作品というイメージもあって、この作品は一見、大振りなオペラだと思われがちです。しかし、オペラそのものの内容としては、登場人物それぞれの感情が繊細に描かれています。特にアイーダとラダメスの二重唱やラスト・シーンなどは、静かで美しい心の行き交いが感じられ、痛切な思いに胸を刺されると思います。派手な舞台だけでなく、こうした点も見逃したくないところです。
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【CD】
アバド指揮
ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団
リッチャレッリ(S) ドミンゴ(T) オブラスツォワ(Ms) ヌッチ(Br) ライモンディ(Bs)
(録音1981年、Deutsche Grammophon) |
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壮大なドラマをアバドが丁寧にうまくまとめたディスク。ドミンゴを始めとして、リッチャレッリ、ヌッチなど役者が揃っています。他にもギャウロフ(Bs)が出演しており、歌手陣が贅沢な一枚。
【CD】
アーノンクール指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、アーノルト・シェーンベルク合唱団
ガイヤルド=ドマス(S) ラ・スコーラ(T) ボロディナ(Ms) ハンプソン(Br) ポルガル(Bs)
(録音2001年、TELDEC) |
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どちらかというと、迫力満点の演奏が多い中、このアーノンクール盤はそれらとは一線を画し、シャープで細やかな表現となっています。ソリストにも声の美しい歌手を揃え、新しい『アイーダ』が生まれました。こうしたアプローチもあったのだと気づかせてくれるディスクです。
【DVD】
シャイー指揮、ゼッフィレッリ演出
ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団
ウルマーナ(S) アラーニャ(T) コムロジ(Ms) グェルフィ(Br) ジュゼッピーニ(Bs)
(録音2006年、DECCA) |
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やはりこのオペラは、豪華な舞台を味わうことに醍醐味があるというのであれば、このゼッフィレッリ演出のDVDをおすすめします。エジプトの雰囲気を出した壮大な舞台が楽しめます。客席のブーイングでアラーニャが途中退場したという話題の公演です。
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