トップ > オペラ・データベース > アンナ・ボレーナ





















2023年新刊
名作オペラをやさしく解説



面白いほどわかる!
オペラ入門
名アリア名場面はここにある

 神木勇介 著

 青弓社 発行
 定価1,800円+税

詳しくはこちら


オペラのことをいちから学ぶ
声、歌、音楽、演出について



オペラ鑑賞講座 超入門
楽しむためのコツ

 神木勇介 著

 青弓社 発行
 定価1,600円+税

詳しくはこちら


「オペラ情報館」が
本になりました



オペラにいこう!
楽しむための基礎知識

 神木勇介 著

 青弓社 発行
 定価1,600円+税

詳しくはこちら






アンナ・ボレーナ

Anna Bolena





オペラ・データ

【作曲】
ガエターノ・ドニゼッティ(1830年11月~12月に作曲)

【初演】
1830年12月26日 ミラノ、カルカーノ劇場

【台本】
フェリーチェ・ロマーニ(イタリア語)

【原作】
イッポーリト・ピンデモンテ『エンリーコ8世、あるいはアンナ・ボレーナ』、アレッサンドロ・ペーポリ『アンナ・ボレーナ』

【演奏時間】
第1幕 90分
第2幕 90分  合計 約3時間



あらすじ

【時と場所】 
1536年、イングランド

【登場人物】
アンナ・ボレーナ(S): イングランド王妃
エンリーコ8世(Bs): イングランド国王
ジョヴァンナ(Ms): アンナの侍女、国王の愛人
ペルシー卿(T): アンナの初恋の人
スメトン(Ms): 王妃付きの楽士
ほか

【第1幕】
時は1536年、舞台はイングランド、ウィンザー城内。国王エンリーコ8世の妃アンナは、侍女のジョヴァンナが国王の寵愛を受けていることを気づきつつあります。国王は、国から追放していたペルシー卿を城に戻していました。ペルシーは、アンナの初恋の人です。ペルシーは王妃のアンナに自らの愛が代わらないことを伝えますが、アンナは苦しくもこれを拒絶します。逆上したペルシーは剣を抜き、自ら死を選ぼうとしますが、そのときカーテンの裏で一部始終を見ていた城の若い楽士スメトンが割って入ります。スメトンは密かに王妃を愛しており、彼女の肖像画の入ったペンダントを持っていました。城内の騒ぎに国王エンリーコが現れます。エンリーコは皆の前で王妃アンナの裏切りがあったことを宣告しました。そして、皆を別々の牢へ入れました。

【第2幕】
捕らわれたアンナの元を侍女ジョヴァンナが訪れ、もし罪を認め、国王との離婚に承諾すれば命は助かると伝えます。しかし、アンナは命を恥辱で買うことはできないと拒否しました。そして、ジョヴァンナが国王の愛人であることを聞き、彼女を下がらせます。
他方、国王エンリーコは、アンナを助けるとスメトンにささやき、アンナとの不倫を認めさせました。アンナは国王に潔白を主張し、ペルシーは国王を非難します。ジョヴァンナも国王にアンナの命を救うように懇願します。しかし、裁判では国王と王妃の離婚が認められ、アンナとその関係者はすべて処刑されることになりました。国王と新しい王妃を迎える歓声が聞こえてくると、アンナは錯乱し、気を失ったのでした。



解説(ポイント)

【1】 多作のオペラ作曲家ドニゼッティの出世作
 
このオペラは、イタリアのベルカント・オペラの代表的な作曲家ドニゼッティの出世作です。70を超えるオペラを残したドニゼッティですが、最初の30作ほどはヒット作が出ず、年下のライバルのベッリーニが先に活躍を始めました。ドニゼッティがロッシーニ後のイタリア・オペラ界に認められる契機となった作品が『アンナ・ボレーナ』です。ミラノ・カルカーノ劇場での初演は、大絶賛されたと言われています。その後、パリやロンドンでも上演され、ドニゼッティの名をヨーロッパ中に広めました。
 
【2】 イングランド・テューダー朝をめぐる歴史物語
 
オペラの物語は、16世紀、イングランドのテューダー朝をめぐる歴史を題材にしています。テューダー朝2代目の国王ヘンリー8世と王妃キャサリンの間で育ったのは女児(後のメアリー1世)のみでした。国王は、王妃の侍女アン・ブーリン(このオペラのタイトルロールのアンナ)と結婚するため、離婚を認めないカトリックと対立し、イギリス国教会を打ち立てます。そうまでして王妃として迎えたアン・ブーリンとの間にも女児(後のエリザベス1世)しか持てず、また、そのときすでに国王の心は女官ジェイン・シーモアに移っていました。そこで、国王は、王妃アン・ブーリンに無実の罪を着せ、処刑してしまいました。
 
【3】 マリア・カラスの復活上演
 
当時、流行していた狂乱オペラであるこの作品は、第2幕のフィナーレでアンナが歌うアリア「私が生まれたあの城に~邪悪な夫婦よ」"Al dolce guidami...Coppia iniguia"が、狂乱の場として最大の聴きどころです。このオペラはドニゼッティの作品の中でも、知る人ぞ知るオペラとして埋もれていましたが、現代になり、『ルチア』で成功していたマリア・カラスが、ミラノ・スカラ座でアンナを歌ったことで、再び脚光を浴びることになりました。その後、ベルカント・オペラを得意とする多くのソプラノ歌手の重要なレパートリーになっています。



おすすめディスク

【CD】
ガヴァッツェーニ指揮
ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団
カラス(S) ロッシ=レメニ(Bs) ライモンディ(T) シミオナート(Ms)
(録音1957年、EMI Classics)
マリア・カラスによって蘇ったアンナ・ボレーナ。その1957年のミラノ・スカラ座の公演の初日のライブ録音がこのディスク。ベルカント・オペラを代表する歴史的録音の一つです。


【DVD】
ピド指揮、ジェノヴェーゼ演出
ウィーン国立歌劇場管弦楽団、合唱団
ネトレプコ(S) ダルカンジェロ(Bs) メーリ(T) ガランチャ(Ms)
(録画2011年、Deutsche Grammophon)
雰囲気のある舞台で、ネトレプコとガランチャが競演した映像。若いのに、落ち着いた歌いまわしが印象的で、世代を担う歌手の実力を確認できます。







Copyright (C) 2005-2024 Yusuke Kamiki. All Rights Reserved.