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バリトン、バス








【ア】


アダム,テオ  (1926-、ドイツ)
 ドレスデンに生まれ、ドレスデン聖十字架合唱団に所属。小学校教師をしながら声楽を学び、1949年にデビュー。1952年には、バイロイト音楽祭にデビューしてその後もこの音楽祭で活躍した。1953年以降、ベルリン国立歌劇場と契約。ヴォータンやザックスを歌い、また、バッハ等の声楽曲やドイツ・リートでも定評がある。

アライモ,シモーネ  (1950-、イタリア)
 シチリアのヴィラバーテに生まれ、第1回マリア・カラス・コンクールで優勝。1983,85年にペーザロのロッシーニ音楽祭に招かれロッシーニ歌手として知られ、1988年、コヴェント・ガーデン王立歌劇場に『チェネレントラ』のダンディーニ、1990年、ウィーン国立歌劇場に『アルジェのイタリア女』のムスターファでデビューした。

アルバレス,カルロス  (1962-、スペイン)
 医学の勉強をしながらマラガの音楽院で学び、マドリードのサルスエラ劇場でデビュー。その後、ヨーロッパ各地で歌い、1995年、ウィーン国立歌劇場にデビュー、翌年、ミラノ・スカラ座にデビュー。1999年、ムーティ指揮するミラノ・スカラ座『ドン・ジョヴァンニ』で好評を博し、世界中の第一線で活躍する。

アレン,トーマス  (1944-、イギリス)
 ロンドンの王立音楽院で声楽とオルガンを学び、グラインドボーン音楽祭の合唱団に入った。1969年、ウェルシュ・ナショナル・オペラに『フィガロの結婚』の伯爵でデビュー。モーツァルトの諸役を得意とし、1987年、ストレーレルが演出したミラノ・スカラ座『ドン・ジョヴァンニ』では大絶賛された。

ヴァイクル,ベルント  (1942-、オーストリア)
 ウィーンに生まれ、マインツとハノーファー音楽大学で学ぶ。1970年、ベルリン・ドイツ・オペラにデビュー。1972年には故郷のウィーン国立歌劇場、また、バイロイト音楽祭にもデビューし、その後、ドイツ系トップ・バリトンとして活躍する。特に『マイスタージンガー』のザックス歌いとして有名で100回以上歌っている。

ヴェヒター,エバーハルト  (1929-1992、オーストリア)  
 ウィーンに生まれ、ウィーン大学で学ぶ傍ら声楽を学ぶ。1953年、ウィーン・フォルクスオーパー『道化師』のシルヴィオでデビュー。その後、ウィーンを中心に活躍し、同地の人気歌手となる。叙情的な声に、明快な歌唱。ドイツ・オペラのほかオペレッタも得意とする。ウィーン国立歌劇場総監督を歴任。

エステス,サイモン  (1938-、アメリカ)  
 アイオワ州に生まれ、アイオワ州立大学、ジュリアード音楽院で学んだ後、1966年、チャイコフスキー国際コンクールで第3位となる。同年、ベルリン・ドイツ・オペラと契約し、1976年からチューリヒ歌劇場と契約、ガーシュイン『ポーギーとベス』で成功した。バイロイト音楽祭でも成功し、黒人バス歌手として地位を不動のものとしている。


【カ】


カップッチッリ,ピエロ  (1927-2005、イタリア)
 イタリアのオペラ界を代表するバリトン。ベルカント唱法を継承し、長いフレーズも一息で歌いきり、劇的で、かつ深遠な表現力が聴く者を圧倒する。ヴェルディの諸役で絶大な力を発揮し、ナブッコ、マクベス、リゴレット、シモン・ボッカネグラのタイトルロールや、『ドン・カルロ』のロドリーゴなど、極めて評価が高い。

ガッロ,ルーチョ  (1959-、イタリア)
 タラントに生まれ、トリノ音楽院で学んだ後、数々のコンクールに入賞した。1985年、ジェノヴァ歌劇場でストラヴィンスキーの『きつね』デビュー。パヴァロッティと共演した『ラ・ボエーム』のマルチェッロで成功した。モーツァルトの諸役で表現力ある歌唱を見せ、ヴェルディの諸役では真に迫る舞台姿を見せる。

ギャウロフ,ニコライ  (1929-2004、ブルガリア)  
 ソフィア、モスクワ音楽院で学び、1955年、ソフィア国立歌劇場で『セヴィリャの理髪師』のバジリオを歌いデビュー。1957年、ウィーン国立歌劇場で歌った後、翌年、ボリショイ劇場にもデビュー。1959年にボリス・ゴドゥノフとフィリッポ2世でミラノ・スカラ座にデビュー。戦後を代表する大バス歌手の一人。妻はフレーニ(S)。

キーンリーサイド,サイモン  (1959-、イギリス)
 ロンドンで生まれ、マンチェスター王立ノーザン音楽大学で学ぶ。1988年、ハンブルク歌劇場『フィガロの結婚』の伯爵を歌ってデビューし、成功を収める。アルマヴィーヴァ伯爵、ドン・ジョヴァンニ、パパゲーノなどモーツァルトの諸役を得意とし、恵まれた容姿に魅力的な声で、欧米の歌劇場に招待を受け活躍している。

グエルフィ,カルロ  (1962-、イタリア)
 ローマに生まれ、叔父に声楽を学ぶ。1983年、国際声楽コンクールに優勝したのを皮切りに、クレモナのポンキエッリ劇場でデビュー。その後、イタリア各地の歌劇場に登場し、ヨーロッパ各地でも活躍。イタリア期待のバリトンとして、主にヴェルディの諸役を歌う正統派バリトン。

ゲルハーエル,クリスティアン  (1969-、ドイツ)
 ミュンヘン国立音楽大学で学び、フィッシャー=ディースカウ(Br)、シュヴァルツコプフ(S)のクラスを受講。ドイツ・リートや著名な指揮者の下で声楽曲のソリストを務める。オペラでは、フランクフルト歌劇場をはじめ、2006年、ザルツブルク音楽祭にパパゲーノでデビュー、2010年、コヴェント・ガーデンにヴォルフラムでデビュー。

ゲルネ,マティアス  (1966-、ドイツ)
 ケムニッツに生まれ、ライプツィヒ音楽大学で学び、フィッシャー=ディースカウ(Br)、シュヴァルツコプフ(S)に師事。ロベルト・シューマン国際コンクールに優勝し、1990年、『マタイ受難曲』でソリスト・デビュー。主にドイツ・リートを歌うが、オペラでもパパゲーノやヴォツェックなど、異色の活躍を見せる。

ゴッビ,ティト  (1913-1984、イタリア)
 ヴェネツィア近郊に生まれ、大学で法律を修めた後、ローマで声楽の研鑽を積む。1936年、ウィーン国際声楽コンクールで優勝し、翌年、ローマで『椿姫』のジェルモンを歌いデビューした。イアーゴやスカルピアなどで傑出した演技力を見せ、彼が舞台に現れれば名場面となる。現代バリトン歌手の王。

コロンバーラ,カルロ  (1964-、イタリア)
 ボローニャに生まれ、ボローニャ市立歌劇場の研修生として学ぶ。数々のコンクールに優勝した後、1987年、ミラノ・カルカーノ劇場でデビュー。翌年にはヴェネツィア・フェニーチェ座、ミラノ・スカラ座にも登場し、イタリア各地を始め、世界各国に活躍の場を広げた。イタリアを代表するバス歌手に成長し、その美声と堅実な歌唱を披露する。


【サ】


サルミネン,マッティ  (1945-、フィンランド)
 ヘルシンキのシベリウス・アカデミーに学び、1969年、フィンランド国立歌劇場に『ドン・カルロ』のフィリッポ2世でデビュー。1972年にケルン市立歌劇場と契約、1976年にバイロイト音楽祭にもデビューし、ワーグナー歌手として名声を得る。ザラストロからマルケ王までバス歌手としての風格が漂う。

ザンカナロ,ジョルジョ  (1940-、イタリア)
 生地のヴェローナ音楽院で学び、1970年にヴェルディの声コンクールで優勝し注目される。1981年に『ファルスタッフ』のフォードでミラノ・スカラ座にデビュー。イタリア各地の歌劇場で活躍する。持ち前の硬質の声で歌いきり、シリアスな役を得意とする。

シュトルックマン,ファルク  (1958-、ドイツ)
 ハイルブロンに生まれ、シュトゥットガルト音楽大学で学んだ後、キールの歌劇場でデビュー。1989年、バーゼルの歌劇場で歌った『青ひげ公の城』で注目され、その後バレンボイムの招きでベルリン国立歌劇場で活躍する。バイロイト音楽祭にもクルヴェナールでデビューし、現在、ワーグナー歌手として確実な地位を築く。

シュミット,アンドレアス  (1960-、ドイツ)
 生地のデュッセルドルフでライヒェルトに声楽を学んだ後、フィッシャー=ディースカウに師事する。ドイツ音楽コンクールに優勝し、1984年、ベルリン・ドイツ・オペラにデビューした。その後、主にドイツ、オーストリアの一流歌劇場で活躍する。ドイツリートの分野ではディースカウの後継者とされる。

シュロット,アーウィン  (1972-、ウルグアイ)
 モンテビデオに生まれ、聖歌隊に入り、1994年には生地で『アンドレア・シェニエ』でデビュー。イタリアに留学し、ドミンゴ主催のコンクールで優勝。2000年、ハンブルク州立歌劇場、メトロポリタン歌劇場にいずれも『ラ・ボエーム』でデビュー。ドン・ジョヴァンニや伯爵に定評がある。夫人はネトレプコ(S)。

スカンディウッツィ,ロベルト  (1958-、イタリア)
 トレヴィーゾに生まれ、1982年、ボローニャ歌劇場で『ファウストの劫罰』のブランデル役でデビュー。同年には、ムーティが指揮するミラノ・スカラ座『フィガロの結婚』のバルトロ役を歌いデビューを果たした。その後もイタリア各地で活躍し、1994年にメトロポリタン歌劇場にデビュー。イタリア・バス歌手の系譜を受け継ぐ逸材。

スコウフス,ボー  (1962-、デンマーク)
 コペンハーゲン王立オペラ・アカデミーで学び、さらにニューヨークで学んだ後、1988年、ウィーン・フォルクスオーパーに『ドン・ジョヴァンニ』のタイトルロールでデビューし大成功した。その後もウィーンで人気歌手となり、ウィーン国立歌劇場等で活躍する。『メリー・ウィドウ』『ビリー・バッド』『ヴォツェック』等のレパートリーを持つ。


【タ】


タッデイ,ジュゼッペ  (1916-2010、イタリア)
 ジェノヴァに生まれ、19才でローマ歌劇場の奨学生となり、1936年に同歌劇場にデビュー。その後、第二次世界大戦のため活動を中断し、戦後の1946年、ウィーン国立歌劇場にデビューしたのを皮切りに特にイタリア中心に活躍した。欧米の一流歌劇場にも出演し、その類い希な表現力でイタリア・オペラ界の至宝として存在する。

ターフェル,ブリン  (1965-、イギリス)
 ウェールズに生まれ、1990年、ウェールズ・ナショナル・オペラにデビュー。1992年のザルツブルク音楽祭で『サロメ』のヨカナーン、『ドン・ジョヴァンニ』のレポレッロを歌い、一気に注目される。強靱な声を持ち、極めてレパートリーは広いが、大雑把ということはなく、繊細な表現にも長けており、オールマイティな実力の持ち主。

ダーラ,エンツォ  (1938-、イタリア)
 マントヴァに生まれ、1960年、ファーノで『ラ・ボエーム』のコルリーネでデビュー。1967年のレッジョ・エミーリアでのドゥルカマーラが絶賛される。ミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場、コヴェント・ガーデンにすべて『セヴィリャの理髪師』のバルトロでデビューするなどイタリアのバッソ・ブッフォの代表格。

ダルカンジェロ,イルデブランド  (1969-、イタリア)
 ペスカーラに生まれ、ボローニャで学び、1989年、『ドン・ジョヴァンニ』のマゼットでデビュー。その後、イタリア各地の歌劇場で歌い、1999年、ムーティが指揮するミラノ・スカラ座にレポレッロでデビューし成功する。モーツァルトのオペラでは、他に追随を許さず、レポレッロ、フィガロを最大の当たり役とする。

チェルノフ,ウラジミール  (1960-、ロシア)
 モスクワ音楽院で学び、ミラノ・スカラ座の研究生となり研鑽を積む。1981年にキーロフ劇場でデビューし、1986年、チャイコフスキー・コンクールで優勝した。1990年、メトロポリタン歌劇場に『ルイザ・ミラー』のミラーでデビュー。その後もヴェルディの諸役などで活躍する。

デ・カロリス,ナターレ  (1957-、イタリア)
 ローマ近郊のアニャーニに生まれ、1985年、スポレートの『トン・パスクワーレ』でデビュー。1987年、ムーティが指揮するミラノ・スカラ座にマゼットでデビュー。ロッシーニ音楽祭にも出演を果たし、1998年、コヴェント・ガーデンでグリエルモを歌った。来日も多くなじみ深い。夫人はソプラノのフリットリ。

デジエ,ルドウィク  (1968-、フランス)
 マルセイユに生まれ、パリ・オペラ座アトリエ・リリックで学ぶ。1998年、オペラリアで優勝し、1999年、グラインドボーン音楽祭に『オリィ伯爵』のロベルト役でデビュー。ベルリン・ドイツ・オペラ、ミラノ・スカラ座にもデビューする。2005年にはウィーン国立歌劇場に『フィガロの結婚』の伯爵でデビューし、その他、ボルドー、トゥールーズなどで歌う。


【ナ】


ヌッチ,レオ  (1942-、イタリア)
 スポレート音楽祭『セヴィリャの理髪師』のフィガロでデビューした後、約7年間、ミラノ・スカラ座合唱団に所属、1977年、同歌劇場に『セヴィリャの理髪師』のフィガロで再デビューした。ベルカント唱法を継承した数少ないバリトンで、また、他に追随を許さない演技力は舞台で圧倒的な存在感を示す。


【ハ】


パネライ,ローランド  (1924-、イタリア)
 フィレンツェ音楽院で学んだ後、ミラノでも学び、1947年、スポレート国際声楽コンクールで優勝した。同年、サン・カルロ歌劇場のロッシーニ『モーゼ』でデビュー。ミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場、ザルツブルク音楽祭と、モーツァルト、ロッシーニの諸役をレパートリーに次々とデビューしていった。

パーペ,ルネ  (1964-、ドイツ)
 ドレスデンに生まれ、同地の音楽院で学び、1987年、ベルリン国立歌劇場に『魔笛』の弁者でデビュー。1990年にはザルツブルク音楽祭にデビューし、ザラストロ役でも評価を得る。その後、メトロポリタン歌劇場やパリ・オペラ座など世界の一流歌劇場に出演。モーツァルトの諸役からワーグナーまで、自在に活躍している。

ハヴラタ,フランツ  (1963-、ドイツ)
 ミュンヘン音楽院で学び、ヘフリガー(T)やホッター(Br)に学んだ。1986年、ミュンヘンでデビューし、ウィーンのコンクールで優勝した後、ウィーン・フォルクスオーパーの『ウィンザーの陽気な女房たち』のファルスタッフで注目される。オックス男爵などが好評で、得難いドイツ系バス歌手として活躍している。

ハンプソン,トーマス  (1955-、アメリカ)
 シュヴァルツコップ等に師事し、1986年、メトロポリタン歌劇場に『フィガロの結婚』の伯爵でデビュー。その後は、欧米諸国でめざましい活躍をし、世界でも最も人気のあるバリトン歌手となるとともに、実力でも他に追随を許さない。録音も多く、オペラのほかにリート歌手としての評価も高い。

ファン・ダム,ヨセ  (1940-、ベルギー)
 ブリュッセルの音楽院で学び、1960年、リュッティヒ歌劇場で『セヴィリャの理髪師』のドン・バジリオを歌いデビュー。翌年トゥールーズ国際声楽コンクールに優勝したのを皮切りに世界的に活躍を始め、フランス、ドイツ、その他幅広いレパートリーを持っている。知的で深みのある声は、どのオペラに対しても安定感を見せる。

フィッシャー=ディースカウ,ディートリヒ  (1925-、ドイツ)
 ドイツリートの第一人者で、今後も彼の右に出る者はいないだろう。言葉と音楽を融合させた歌唱は、極めて精密なテクニックにより裏付けられ、ドイツリートの芸術性を高めた。オペラでもアルマヴィーヴァ伯爵、ヴォルフラム、アムフォルタスなど気高く紳士的な役を得意とする。後進の指導にも熱心に取り組む。夫人はヴァラディ(S)。

フィンリー,ジェラルド  (1960-、カナダ)  
 オタワとロンドンで学び、1998年、メトロポリタン歌劇場に『魔笛』のパパゲーノでデビュー。2005年には、メトロポリタン歌劇場のアダムスのオペラ『ドクター・アトミック』の世界初演(オッペンハイマー博士役)で好評を博す。モーツァルト・オペラから現代オペラまで歌い、また、歌曲の分野でも活躍する。

フヴォロストフスキー,ドミトリ  (1962-、ロシア)
 シベリア、クラスノヤルスクに生まれ、1986年に同地の歌劇場でデビューした。トゥールーズ国際声楽コンクール、カーディフ国際声楽コンクールで優勝し注目され、その後、欧米の数々の歌劇場で活躍。恵まれた容姿から人気もあり、それ以上に美しく柔軟な声で魅了している。ロシア・オペラ以外にもレパートリーは広い。

プライ,ヘルマン  (1929-1998、ドイツ)  
 ドイツ各地の歌劇場で活躍しながら、世界的に人気のあるバリトン歌手となった。F=ディースカウと対称的に、持って生まれた美声とあふれる歌心で聴く者の心をとらえる。フィガロ、伯爵、パパゲーノなどモーツァルトの諸役から、セヴィリャのフィガロ、ヴォルフラム、ベックメッサーなどを得意とする。ドイツリートでも重要な活躍を見せた。

ブルゾン,レナート  (1936-、イタリア)
 キャリアの始めは苦労したが、イタリア・ベルカント唱法を確実に身につけ、1969年にメトロポリタン歌劇場でエンリーコとルーナ伯爵を歌って注目を集める。イタリアに戻り、ミラノ・スカラ座、サン・カルロ歌劇場などで活躍。以後、30年にわたりイタリア系バリトンの王道を歩む。その声は陰影に富み、ノーブルな響きを持つ。

ブルチュラーゼ,パータ  (1951-、グルジア)
 トビリシに生まれ、同地の音楽院で学ぶ。1978年、イタリアに留学し、シミオナート(Ms)に師事した。1982年、チャイコフスキー・コンクールでグリゴリアンやチェルノフを抑え優勝。1984年、ボリショイ劇場でボリス・ゴドゥノフを歌う。世界の一流歌劇場で正統派バス歌手として活躍。

フルラネット,フェルッチョ  (1949-、イタリア)
 大学卒業後に声楽を学び、イタリア各地で歌った後、1979年、アバドが指揮するミラノ・スカラ座『マクベス』のバンクォーでデビュー。1985年、カラヤン指揮の『ドン・ジョヴァンニ』でレポレッロを歌い、翌年、ザルツブルク音楽祭では同じくカラヤンと『ドン・カルロ』のフィリッポ2世を歌う。動と静を兼ね備えたバス歌手。

ブレンデル,ヴォルフガング  (1947-、ドイツ)
 ミュンヘンに生まれ、同地の音楽院で学んだ後、カイザースラウテンのプファルツ劇場でドン・ジョヴァンニを歌ってデビュー。1971年からバイエルン国立歌劇場と契約し、1986年までモーツァルトの諸役やヴォルフラム等を歌い成功を収める。その後もアイゼンシュタイン、マンドリカなどを歌い、ドイツを中心に活躍する。

ベリー,ワルター  (1929-、オーストリア)
 ウィーンに生まれ、ウィーン大学で学び、1950年、ウィーン国立歌劇場と契約を結び、『火刑台上のジャンヌ・ダルク』でデビューした。1952年にはザルツブルク音楽祭にもデビューし、モーツァルトの諸役で客席を魅了した。メトロポリタン歌劇場でも成功したが、ウィーン国立歌劇場を拠点に活躍を続けた。

ペルトゥージ,ミケーレ  (1965-、イタリア)
 パルマに生まれ、ベルゴンツィに師事する。パヴァロッティ・コンクールで入賞後、1985年、モデナの『エルナーニ』でデビュー。イタリア各地で活躍した後、1989年、ミラノ・スカラ座に『フィガロの結婚』の伯爵でデビューした。イタリアの次世代を担う実力派バス歌手として、モーツァルト、ロッシーニ等のレパートリーを持つ。

ホッター,ハンス  (1909-2003、ドイツ)
 ミュンヘン大学、音楽大学で学び、1930年、『魔笛』の弁者でデビュー。バイエルン国立歌劇場、ウィーン国立歌劇場で多くの役を歌う。特にワーグナーやR.シュトラウスのオペラでは他の追随を許さず、バイロイト音楽祭でも活躍。ドイツ・リートでも最高の歌唱を見せた。戦前・戦後のドイツを代表する名バリトン。

ホル,ロベルト  (1947-、オランダ)
 ロッテルダムで声楽を学び、その後、ハンス・ホッターに師事する。1973年からバイエルン国立歌劇場に所属し、1977年、ウィーン国立歌劇場に『魔笛』のザラストロでデビュー。1996年には、バイロイト音楽祭でザックスを歌う。コンサート歌手としても活躍し、シューベルティアーデなどでリート歌手として評価されている。

ホルツマイアー,ヴォルフガング  (1952-、オーストリア)
 ウィーン大学を卒業後、1982年、ウィーン国際リート・コンクールで優勝。翌年からベルン市立劇場に所属する。1987年、ウィーン国立歌劇場にツィンマーマンの『白いばら』のハンス・ショルでデビューし、その後もヨーロッパを中心に活躍している。ドイツ・リート、近代フランス歌曲など美声を駆使した歌曲分野での活躍も目立つ。

ポンス,ファン  (1946-、スペイン)
 最初は合唱に属していたが、カバリエの目にとまりソリストとして歩む。1980年、ミラノ・スカラ座マゼール指揮『ファルスタッフ』のタイトルロールに抜擢され成功する。大きな体格を活かした柔らかな声で、シャープレス、スカルピア、トニオなど、特にヴェリズモ・オペラのバリトンとして評判が高い。


【マ】


マイケルズ=ムーア,アンソニー  (1957-、イギリス)
 1987年からコヴェント・ガーデンで数多くの舞台を経験し、その他にもイギリス国内のオペラ・カンパニーで数多くの役柄を歌った。1994年のウィーン国立歌劇場、翌年のミラノ・スカラ座へのデビューを皮切りに活躍の場を世界に広げ、リゴレット、ジェルモン、シャープレスなど幅広いレパートリーを持つ。

マッテイ,ペーター  (1965-、スウェーデン)
 スウェーデン王立音楽アカデミーを卒業し、1990年にドロットニングホルム宮廷劇場でオペラ・デビュー。長身を活かしてドン・ジョヴァンニを当たり役とし、エクサン・プロヴァンス音楽祭、パリ・オペラ座、メトロポリタン歌劇場で歌う。2011年には、ミラノ・スカラ座のシーズン開演公演でドン・ジョヴァンニを歌いデビュー。

ミルンズ,シェリル  (1935-、アメリカ)
 1964年にニューヨーク・シティ・オペラと契約し、翌年、メトロポリタン歌劇場に『ファウスト』のヴァランタンでデビューする。以来同歌劇場を拠点に活躍しながら、ウィーン国立歌劇場やミラノ・スカラ座にもデビュー。特にヴェルディの諸役に定評があり、ルーナ伯爵、ジェルモンなどハイ・バリトンの役を難なくこなす。

モリス,ジェイムズ  (1947-、アメリカ)
 生地ボルティモアで声楽を学び、1971年、メトロポリタン歌劇場にデビュー。1975年には同歌劇場で『ドン・ジョヴァンニ』のタイトル・ロールを歌い成功を収める。アメリカの歌劇場を中心に、ヨーロッパにも活躍を広げている。ヴォータン歌いとして名を馳せ、その他、『ホフマン物語』の敵役四役などの評価が高い。

モル,クルト  (1938-、ドイツ)
 ケルン音楽大学で学び、1961年、アーヘン歌劇場でデビュー。1970年からハンブルク国立歌劇場のメンバーとなり、その後、ウィーン国立歌劇場、コヴェント・ガーデン王立歌劇場、各種音楽祭に出演。暖かみのある深い声と知性を感じる歌唱で、ザラストロ、ヘルマン、ポーグナーなど落ち着いた役から、オックス男爵まで歌う。


【ヤ】


【ラ】


ライモンディ,ルッジェーロ  (1941-、イタリア)
 1964年にスポレートのコンクールで優勝し、ローマ歌劇場に『シチリア島の夕べの祈り』のプローチダを歌い成功を収め、イタリア各地で歌った後、1970年にメトロポリタン歌劇場にデビューし、世界的なバス歌手の名声を手にする。声はバリトンに近く、スカルピアやエスカミーリョを持ち役とし、ブッファの役も得意。

ラクソン,ベンジャミン  (1937-、イギリス)
 コーンウォール州レッドルースに生まれ、ロンドンのギルドホール音楽演劇学校で学ぶ。1963年、ブリテンが率いるイングリッシュ・オペラ・グループのソビエト公演でデビューした。1972年には、コヴェント・ガーデン王立歌劇場やグラインドボーン音楽祭にデビュー。その後、イングリッシュ・ナショナル・オペラを中心に活躍し、現代歌曲の分野でも実力を発揮した。

ルチッチ,ジェリコ  (1968-、セルビア)
 ズレニャニンに生まれ、1993年、セルビアの歌劇場で『道化師』のシルヴィオを歌いデビュー。1998年から2008年までフランクフルト歌劇場と契約。リゴレット、マクベス、ナブッコ、シモン・ボッカネグラなど主にヴェルディの諸役で活躍。2006年にはメトロポリタン歌劇場の『ラ・ジョコンダ』でデビュー。

レイフェルクス,セルゲイ  (1946-、ロシア)
 レニングラード音楽院で学び、1978年、マリインスキー劇場にデビューした。『エウゲニ・オネーギン』のタイトルロール等のロシア・オペラはもちろん、イアーゴ、スカルピア等の悪役を実直に演じ、渋い活躍をする。CDには、「ムソルグスキー歌曲集」等もある。

レイミー,サミュエル  (1942-、アメリカ)
 カンザス州に生まれ、1973年、ニューヨーク・シティ・オペラにデビュー。1976年にはグラインドボーン音楽祭にデビューして欧米諸国で活躍を始める。ザルツブルク音楽祭でカラヤン指揮『ドン・ジョヴァンニ』のタイトル・ロールを歌い絶賛される。メフィストフェレス、ボリス・ゴドゥノフ、青ひげ公などのバスの主役で実力を発揮する。

ロイド,ロバート  (1940-、イギリス)
 サウスエンド・オン・シーに生まれ、オックスフォード大学で歴史を専攻した後、1969年、ユニヴァーシティ・オペラ・ソサエティで『フィデリオ』のドン・フェルナンドでデビュー。1972年からコヴェント・ガーデンのメンバーとなったほか、メトロポリタン歌劇場でも活躍し、幅広いレパートリーを持つ。

ロータリング,ヤン=ヘンドリック  (1950-、ドイツ)
 ハンブルクで学び、1979年、オイティン音楽祭に『魔弾の射手』の隠者でデビュー。その後、パリ・オペラ座、コヴェント・ガーデン、メトロポリタン歌劇場などに次々とデビューし、ポーグナーやヘルマンなどワーグナーのオペラや、ザラストロなどドイツ・オペラのバス役で活躍。


【ワ】









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