トップ > オペラ・データベース > チャールダーシュの女王





















2023年新刊
名作オペラをやさしく解説



面白いほどわかる!
オペラ入門
名アリア名場面はここにある

 神木勇介 著

 青弓社 発行
 定価1,800円+税

詳しくはこちら


オペラのことをいちから学ぶ
声、歌、音楽、演出について



オペラ鑑賞講座 超入門
楽しむためのコツ

 神木勇介 著

 青弓社 発行
 定価1,600円+税

詳しくはこちら


「オペラ情報館」が
本になりました



オペラにいこう!
楽しむための基礎知識

 神木勇介 著

 青弓社 発行
 定価1,600円+税

詳しくはこちら






チャールダーシュの女王

Die Csárdásfürstin





オペラ・データ

【作曲】
エメリッヒ・カールマン (1914~15年に作曲)

【初演】
1915年11月17日 ウィーン、ヨハン・シュトラウス劇場

【台本】
レオ・シュタイン、ベラ・イェンバッハ(ドイツ語)

【演奏時間】
第1幕 45分
第2幕 45分
第3幕 10分  合計 約1時間40分



あらすじ

【時と場所】 
第一次世界大戦の初期、ハンガリーのブダペスト

【登場人物】
シルヴァ・ヴァレスク(S): 歌姫
エドウィン(T): 侯爵家の子息
シュタージ(S): 伯爵令嬢
ボニ(T): 伯爵
ほか

【第1幕】
時は第一次世界大戦の初期、舞台はハンガリーのブダペスト。歌姫シルヴァは8週間にわたるアメリカ巡業に出る予定でした。彼女とは身分の差はありますが、貴族の子息エドウィンは、シルヴァと相思相愛の関係です。しかし、彼の両親は、エドウィンを伯爵令嬢シュタージと貴族同士で結婚させようとしています。エドウィンはシルヴァにアメリカ行きをやめさせ、8週間のうちに結婚すると約束しました。しかし、シルヴァはボニ伯爵からエドウィンの両親の発したエドウィンとシュタージの婚約通知を見せられます。裏切られたと思ったシルヴァは予定どおりアメリカに旅立ちました。

【第2幕】
数週間後、エドウィンがアメリカに電報を打っても、シルヴァからは全く返信がありません。そこにボニ伯爵の夫人と偽ってシルヴァが現れます。シルヴァのことを愛するエドウィンは、彼女に伯爵と別れるように言います。他方、ボニ伯爵は、エドウィンの許嫁のシュタージのことが気になりはじめ、シュタージも彼に惹かれていきます。エドウィンは親に、シルヴァは今や伯爵夫人だから身分も申し分ない、彼女と結婚する、と説明します。未だに身分を意識するエドウィンにシルヴァは愛想を尽かし、彼と結婚する気はないとして立ち去りました。

【第3幕】
ホテルに戻ったシルヴァは、伯爵夫人ではなく、自分のことを愛してほしいのに、と嘆きます。そんなシルヴァのことを見ていたボニ伯爵とシュタージは、一計を案じます。エドウィンが失恋して遺書を残したと彼女に伝えたのです。シルヴァは自分の最愛の人に生きていてほしいと願いました。そのとき、エドウィン自身がやってきて、シルヴァのために生きることを誓ったのでした。



解説(ポイント)

【1】 カールマンの最大のヒット作
 
カールマンはハンガリーで生まれ育った作曲家です。当初は法律を学んだり、音楽評論をしたりしていましたが、ウィーンに拠点を移して作曲に専念すると、次第に彼が作曲したオペレッタが人々に受け入れられるようになり、やがて欧米諸国で認められるようになりました。そのカールマンの最大のヒット作が『チャールダーシュの女王』です。このオペレッタの初演時には、歌手の一人が喉を痛め、4日間延期となるハプニングがありましたが、カールマンはその間に若干の修正や加筆をして、実際の初演は大成功だったと伝わっています。
 
【2】 身分の違いを越えた恋愛結婚
 
このオペレッタの持つ時代背景として、貴族の男性は貴族の女性と対等な身分で結婚することが重視されていました。しかし、当時20世紀初頭には、恋愛結婚によって身分の違いを越えた考え方が広がっていました。このオペレッタの主人公エドウィンは、侯爵家の子息であり、彼の両親は彼が伯爵令嬢のシュタージと結婚することを望みます。その身分の壁があるのは恋人のタイトルロール歌姫シルヴァもわかっています。この時代背景を二人の愛の力で乗り越えられるのか、このオペレッタの見どころです。
 
【3】 チャールダーシュに乗せて
 
このオペレッタは、カールマンの出身のハンガリーの民族音楽、特にチャールダーシュと、ウィンナー・ワルツが融合された独特な音楽を持つことで人気を得ています。タイトルロールの設定は歌姫でもあり、その登場シーンで歌われるシルヴァのアリア「ハイヤ、ハイヤ!私の故郷は山の中!」"Heia, heia! In den Bergen ist mein Heimatland!"から哀愁を帯びたハンガリーの曲調が味わえます。また、第2幕でシルヴァとエドウィンが、過ぎ去った夢のような日々を思い出し、お互いの届かない気持ちを歌う二重唱は、ワルツの調べに乗って歌われ、聴きどころとなっています。



おすすめディスク

【CD】
マッテス指揮
グラウンケ交響楽団、バイエルン国立歌劇場合唱団
ローテンベルガー(S) ゲッダ(T) ミリャコヴィッチ(S) ブロークマイヤー(S)
(録音1971年、EMI)
ローテンベルガーとゲッダという二人の名歌手が揃ったチャールダーシュ。多くのオペレッタを指揮したマッテスの下、充実した演奏です。


【DVD】
ビーブル指揮、ローナー演出
メルビッシュ音楽祭管弦楽団、合唱団
シェーネンベルク(S) ボートマー(T) グロトリアン(S) ヴェルバ(T)
(録画2002年、ORF)
湖上音楽祭の澄み渡る舞台で気持ちの良いオペレッタが見られます。日が落ちて、哀愁漂う音楽が重なり、雰囲気が素晴らしい。







Copyright (C) 2005-2024 Yusuke Kamiki. All Rights Reserved.