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                  | 【作曲】
 エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(1917〜1920年)
 
 【初演】
 1920年12月4日 ハンブルク歌劇場、ケルン歌劇場(同日)
 
 【台本】
 パウル・ショット(コルンゴルト父子)(ドイツ語)
 
 【原作】
 小説『死都ブルージュ』を基にしたジョルジュ・ローデンバックの戯曲『幻影』
 
 【演奏時間】
 第1幕 45分
 第2幕 50分
 第3幕 45分  合計 約2時間20分
 
 
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                  | 【時と場所】
 19世紀末、ブルージュ
 
 【登場人物】
 パウル(T): 亡き妻マリーを悼む男
 マリエッタ(S): 踊り子
 フランク(Br): パウルの友人
 フリッツ(Br): ピエロ
 ほか
 
 【第1幕】
 時は19世紀末、舞台はベルギーの古都ブルージュ。若くして妻マリーに先立たれたパウルは、この町の家の一室に、マリーとの思い出の品々を保管しており、その中でも形見として彼女のブロンドの髪を大切にしています。そこにフランスの踊り子マリエッタが現れました。パウルは彼女が妻と瓜二つであることに驚き、彼女を家に招き入れ、妻のショールなどを身につけさせます。しかし、踊り子のマリエッタは「悪魔のロベール」のリハーサルに行くと言って、その家を立ち去りました。
 パウルは、愛する妻マリーへの感情と、マリエッタへの感情の間で苦しみ、幻影を見ることになります。この夢の世界では、肖像画からマリーの亡霊が現れ、亡霊はパウルに「ブロンドの髪」がこの家を守ってくれると言います。
 
 【第2幕】
 パウルの幻影は続きます。パウルとマリエッタが付き合い始めて数週間後、友人フランクからマリエッタの家の鍵を見せつけられたパウルは、それを奪い取り、マリエッタ本人にその鍵を突きつけて彼女を非難します。パウルは「自分が愛していたのは妻マリーで、君ではない」と告白します。それを聞いてマリエッタは、むしろパウルを誘惑します。パウルに「あなたの恋人の家で一夜を共にしたい。亡霊を封じ込めるために」と言いました。
 
 【第3幕】
 翌朝、良心の呵責に苦しむパウルは、マリエッタに対し、マリーの肖像画の前から立ち去るように求めますが、逆に彼女はパウルを挑発します。肖像画の前で生きている「私」を見せつけ、しまいには、マリーのブロンドの髪が入った器から髪を取り出し、それを首に巻き付けて踊り始めました。激怒したパウルはマリエッタを押し倒し、髪の毛を使って彼女を絞め殺します。
 そこでパウルは幻影から目を覚ましました。マリエッタは、ちょうど忘れ物の傘とバラの花を取りに戻ってきたところで、再びリハーサルへと向かいます。マリエッタが立ち去る姿を見つめながら、パウルは友人のフランクに、「我々は死者をどこまで悲しむべきか」と問い、二人でこの「死の都」から出ていくことにしました。
 
 
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                  | 【1】 神童コルンゴルトの名作オペラ
 
 『死の都』は、現代のモーツァルトと呼ばれた神童コルンゴルトが23歳のときに作曲した彼の3作目のオペラです。ツェムリンスキーに作曲を師事したコルンゴルトは、ワーグナーやR.シュトラウスの後期ロマン派音楽の理想的な後継者と言えます。オペラ以外にも、交響曲嬰ヘ長調(Op.40)、ヴァイオリン協奏曲(Op.35)、チェロ協奏曲(Op.37)などの傑作を残しました。オペラ『死の都』の初演では、作曲者の隣にR.シュトラウスが座り、賛辞を送ったそうです。その後、米国ハリウッド映画の音楽の世界で活躍したコルンゴルトは、その映画をもオペラと捉えながら音楽を作曲したと言われています。
 
 【2】 古都ブルージュと幻想的な世界
 
 オペラの舞台となったブルージュは、運河を中心に栄えていましたが、15世紀以降、土砂が堆積し、水が滞留して次第に衰退しました。この古都をオマージュした小説『死都ブルージュ』が原作のこのオペラの台本は、パウル・ショットという人物の創作物です。この人物の正体は、作曲者コルンゴルトとその父ユリウス。ペンネームの由来は、オペラの主人公パウルと、楽譜を出版したショット社を合わせたものです。父のユリウスは、オペラの大部分を、パウルの夢の中の出来事とする考えを盛り込んで台本を作成しました。こうして、古都と幻影が交差する魅惑的なオペラが生まれたのです。
 
 【3】 訴えかけるオペラの主題
 
 このオペラが私たちに強く訴えかけてくるのは、「死者をどこまで悲しむべきか」「愛する者の死は受け入れられるものか」など、特に人間にとって普遍的な問題を真正面から取り上げたからでもあり、また、そういった「愛と死」はオペラにとって最も重要な主題でもあります。そして、このオペラの成功のためには、マリエッタとマリーという正反対の人物を歌う一人二役のソプラノと、パウルという現実と幻影の2つの精神世界を行き来するテノールの歌唱の出来が大きな要件となっています。第1幕のソプラノとテノールの二重唱「私に残された幸せは(マリエッタの歌)」は悲しい歌ですが、愛しあう者同士の希望も訴えています。
 
 
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                  | 【CD】
 
 
                    
                      
                        | ラインスドルフ指揮 ミュンヘン放送管弦楽団、バイエルン放送合唱団
 コロ(T) ネブレット(S) ラクソン(Br) プライ(Br)
 (録音1975年、BMG Classics)
 |  |  |  このディスクは、完全全曲盤として世界初録音のオペラ『死の都』として知られています。主役二人の歌唱のほか、ピエロ役にヘルマン・プライを擁しているところが贅沢。解説書には、作曲者自身によるあらすじ(物語紹介)が掲載されていて、オペラの意味するところがよくわかります。
 
 
 【DVD】
 
 
                    
                      
                        | ペトレンコ指揮、ストーン演出 バイエルン国立歌劇場管弦楽団、合唱団
 カウフマン(T) ペーターゼン(S) フィロニャチク(Br)
 (録音2019年、Bayerische Staatsoper Recordings)
 |  |  |  バイエルン国立歌劇場自主レーベルの第2弾としてリリースされたこちらの映像は、鬼気迫る歌唱と演技を見せるカウフマンと、圧倒的な存在感を放つペーターゼンの二人がこのオペラの魅力を最大限に掘り起こしています。
 
 
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