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【作曲】 リヒャルト・ワーグナー(1854〜56年)
【初演】 1870年6月26日 ミュンヘン、宮廷歌劇場
【台本】 作曲者ワーグナー自身による(ドイツ語)
【原作】
ドイツの叙事詩『ニーベルンゲンの歌』、アイスランドの歌謡集『エッダ』等の伝説
【演奏時間】 第1幕 60分
第2幕 90分
第3幕 70分 合計 約3時間40分
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【時と場所】 神話の時代、ライン川近くの森と岩山
【登場人物】 神々
ヴォータン(Br): 神々の王
フリッカ(Ms): ヴォータンの妻、結婚の神
人間
ジークムント(T): ヴォータンと人間の女との間の子
ジークリンデ(S): ジークムントの双子の妹
フンディング(Bs): ジークリンデの夫 ワルキューレ
ブリュンヒルデ(S): ヴォータンとエルダの間の子
ヘルムヴィーゲ(S)
オルトリンデ(S)
ゲールヒルデ(S)
ヴォルトラウテ(Ms)
ジークルーネ(Ms)
ロスヴァイセ(Ms)
グリムゲルデ(A)
シュヴェルトライテ(A)
ほか
【第1幕】
時は神話の時代、舞台は森の中のフンディングの館。神々の王ヴォータンは、神の世界と関係のない人間の双子の兄妹ジークムントとジークリンデをもうけ、指環を奪還しようとしました。二人は別々に育ち、あるとき、戦場で傷ついたジークムントは、ジークリンデの不幸な嫁ぎ先であるフンディングの館に迷いこみました。実はジークムントの戦っていた敵がフンディング。フンディングが一晩だけジークムントに宿を貸した後、翌日、一騎打ちの勝負をすることとなります。
その晩、ジークムントの前にジークリンデが現れ、かつて一人の老人によって館のトネリコの木に突き刺された剣のことを物語りました。そして、二人は互いが兄妹であることも知ります。ジークムントはトネリコの木から名剣ノートゥングを引き抜き、さらに花嫁として妹を得たのでした。
【第2幕】
ヴォータンはジークムントに勝たせようとしますが、結婚の神である妻のフリッカは兄妹の関係を許しません。渋々ですが、ヴォータンは大地の母神エルダに生ませた娘ブリュンヒルデに、フンディングを勝たせるように命じます。ブリュンヒルデは戦場に赴きましたが、ジークムントとジークリンデの愛の深さを知ると、父の命に背きジークムントを勝たせようと決心しました。
しかし、まさにジークムントが名剣ノートゥングをフンディングに振りかざそうとしたとき、ヴォータンがその剣を砕き、フンディングの槍がジークムントの胸に突き刺さったのです。その間、ブリュンヒルデは素早くノートゥングの破片を集め、ジークリンデを連れて立ち去りました。
【第3幕】
ワルキューレ達が集う岩山の頂に帰ってきたブリュンヒルデは、ほかのワルキューレ達に助力を求めますが断られます。ジークリンデは夫の後を追いたいと言いますが、ブリュンヒルデから彼女がジークムントの子ジークフリートを宿していることを伝えられ、生きることを決意し、ノートゥングの破片を持って立ち去りました。
そこにヴォータンが現れ、ブリュンヒルデは命令に背いた罰として、通りがかりの男の妻となることを宣告されます。ヴォータンは彼女の神性を抜き取り、岩山の頂に寝かせます。そして、せめてもの情けに、火の神ローゲによってその周りを炎で囲み、臆病で不遜な男は近づくことができないようにしたのでした。
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【1】 ヒロイン・ブリュンヒルデ
序夜『ラインの黄金』を経て、第1夜『ワルキューレ』からいよいよ本編に突入します。さて、この「ワルキューレ」とはいったい何のことでしょう?それはヴォータンが本妻フリッカとは違う女神たちとの間にもうけた9人の娘たちのことで、羽の付いた鉄兜、槍、盾などを装備しています。彼女たちの仕事は、戦場で勇敢な死を遂げた人間を神の居城ヴァルハラに連れて帰り、英雄として城の警護にあたらせること。そして、指環は手放すべきだとヴォータンに忠告した女神エルダとの間にできた娘がブリュンヒルデであり、彼女は『ニーベルングの指環』全編を通じたヒロインでもあります。このブリュンヒルデ役には、非常に強い声が要求されます。20世紀最大のドラマティック・ソプラノとして名高いビルギット・ニルソンは、その声の全盛期がステレオ録音の普及期とも重なり、第一人者とされてきました。
【2】 名剣ノートゥング
『ワルキューレ』は、『ニーベルングの指環』4作品の中でも、作品としての完成度が高く、最もバランスのいいオペラであり、人気があります。第1幕は、ジークムントとジークリンデの二重唱、そしてジークムントがトネリコの木から名剣ノートゥングを引き抜くシーンなど見どころがいっぱいです。ちなみに「ノートゥング(Notung)」とは、「窮地」を意味する「ノート(Not)」から付けられたもので、窮地に陥ったときに得られたのでこの名が付けられました。ジークムントがノートゥング!と叫ぶ旋律(動機)は、オクターブを下降する極めて特徴的なもので、あなたもつい叫んでしまいそうになるはずです。
【3】 ワルキューレの騎行
第2幕と第3幕で、いよいよワルキューレのブリュンヒルデの登場となります。その登場シーンは、有名な「ホ・ヨ・ト・ホ」というワルキューレの勇ましい歓声から始まります。登場から難度の高い発声を要求されるところにこの役の難しさが表れています。また、第3幕の前奏曲は「ワルキューレの騎行」として、おそらく誰もが聴いたことのある音楽だと思います。翼を持った馬に乗って縦横無尽に飛び交うワルキューレたちにぴったりの曲です。このほかにも、第2幕でのヴォータンとフリッカ夫妻の言い合いや、第3幕最後で、ブリュンヒルデに「さらば、輝かしき娘よ」と別れを告げるヴォータンの告別など名場面で目白押しです。
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【CD】
カラヤン指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団
ディースカウ(Br) シュトルツェ(T) ヴィッカーズ(T) ヤノヴィッツ(S)
(録音1966〜70年、Deutsche Grammophon) |
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ザルツブルク復活祭で4年を費やしてベルリン・フィルとともに上演した『ニーベルングの指環』のスタジオ収録版。歌手陣にディースカウ(ラインの黄金)やヤノヴィッツが採用され、カラヤン・スタイルの『指環』が実現しました。ワーグナーの世界の異様さと美しいサウンドが組み合わさり、魅力的な一枚(ではなくて十四枚)。
【DVD】
ブーレーズ指揮、シェロー演出
バイロイト祝祭劇場管弦楽団、合唱団
マッキンタイアー(Br) ツェドニク(T) サルミネン(Bs) ジョーンズ(S)
(録画1979、80年、Philips) |
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オペラの演出の時代を創出したとも言えるこの映像。これを見ておかないとその後のオペラを語ることができないほどの重要さを持っています。それだけブーレーズ=シェローの残した功績は大きかったのです。歌手陣がいくぶん小粒ながら、トータルではバランスが取れており、決して他の代表盤に見劣りするものではありません。
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