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6.フランス・オペラ史から
その他の国の歴史







フランス・オペラ史

 次にフランスのオペラの歴史を追っていきます。

  フランスの首都パリはヨーロッパの文化の中心でもあります。当然、オペラに関しても重要な拠点となっていました。特にフランスのオペラは、「グランド・オペラ」といってバレエや合唱などを伴う規模の大きいものが主流となりました。

 イタリアで生まれたオペラは、リュリ、ラモーなどの作曲家によりパリにも伝播します。マイヤベーアの『ユグノー教徒』はグランド・オペラの代表作ですし、ロッシーニも『ウィリアム・テル』などのグランド・オペラをフランス語で作曲しています。

 フランスのロマン派オペラとして、ベルリオーズは『トロイの人々』というワーグナーのオペラに匹敵するような非常に大きなオペラ作品を書きました。これはフランスのグランド・オペラの頂点の作品となっています。トマの『ハムレット』、グノーの『ファウスト』『ロメオとジュリエット』も美しい旋律を持つオペラの一つです。 こうしたグランド・オペラの流れとは逆に、一幕物のオペレッタもパリ市民に受け入れられます。オッフェンバックは『天国と地獄』など100以上のオペレッタを残しました。そうした彼もオペラでは『ホフマン物語』という不思議な物語のオペラを書いています。

 後期ロマン派のフランスでは異国趣味の傾向が強く出てきます。スペインの闘牛士も出てくるビゼーの『カルメン』は、フランス語で歌われるオペラの中でも最も有名なオペラなのではないでしょうか。また、サン=サーンスの『サムソンとデリラ』は、旧約聖書の時代の特徴ある雰囲気を描いています。

 フランスの重要なオペラ作曲家として、マスネを挙げなければなりません。マスネは、非常に流麗な旋律を持つ美しいオペラを世に送り出しました。『マノン』『ウェルテル』『タイス』などの作品は、イタリアのヴェルディ、ドイツのワーグナーとも違う魅力を持ち、マスネはフランスを代表するオペラ作曲家と言っていいでしょう。
 1900年以降のその後の世代には、ドビュッシーの『ペレアスとメリザンド』、ラヴェルの『スペインの時』『子供と魔法』、フォーレの『ペネロープ』、プーランクの『ティレジアスの乳房』『カルメル会修道女の対話』などのオペラがあります。



世界のオペラ

 さて、その他の国には、どんなオペラがあるでしょう。

 まず注目したいのがロシアです。ロシアには独自の特色を持ったオペラが数多く生まれ、ムソルグスキーの『ボリス・ゴドゥノフ』、チャイコフスキーの『エウゲニ・オネーギン』などの名作があります。

 東欧を眺めてみると、チェコに多くのオペラの秀作が出ました。交響詩「モルダウ」で有名なスメタナの『売られた花嫁』、交響曲「新世界より」で有名なドヴォルザークの『ルサルカ』などが先陣を切り、ヤナーチェクが『イェヌーファ』『カーチャ・カバノヴァー』『利口な女狐の物語』『マクロプロス事件』『死者の家から』などのオペラを書いて、チェコ・オペラを完成させました。

 1900年以降になると、アメリカではジャズを取り入れたオペラ、ガーシュインの『ポーギーとベス』が発表されました。また、メノッティの『電話』は、登場人物が2人の室内オペラで、コンサートなどでもよく上演されます。

 さて、お気づきかもしれませんか、これまでの話にイギリスのことが出てきていません。クラシック音楽の世界では、有名なイギリスの作曲家が少ないのは周知のことかと思います。オペラもこれとほとんど同じです。

 しかし、20世紀に入ってオペラ作曲家として欠かすことのできない人物にブリテンが現れます。 ブリテンは、『ピーター・グライムズ』を発表し大成功を収めました。その後も『ルクレツィアの凌辱』『真夏の夜の夢』『ヴェニスに死す』などのオペラ作品を書き、世界中のオペラハウスのレパートリーとなっています。ヨーロッパを代表するオペラ作曲家の最後の巨匠でした。

 最後に、日本のオペラを紹介したいと思います。明治時代にオペラが輸入されてから、多くの作曲家がオペラの作曲に挑戦してきましたが、日本のオペラとして認知されるのは、團伊玖磨の『夕鶴』が現れるのを待たなければなりません。その後は清水脩の『修禅寺物語』、黛敏郎の『金閣寺』などのオペラがヒットしました。現在でも新しいオペラが誕生しています。








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