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【作曲】
レオシュ・ヤナーチェク 1894~1903年頃に作曲
【初演】
1904年1月21日 ブルノ、国民劇場
【台本】
作曲者が原作を一部削除して(チェコ語)
【原作】
ガブリエラ・プライソヴァーの戯曲『彼女の養女』
【演奏時間】
第1幕 40分
第2幕 50分
第3幕 30分 合計 約2時間
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【時と場所】
19世紀後半、モラヴィア地方にある村
【登場人物】
イェヌーファ(S): 村娘
コステルニチカ(S): イェヌーファの継母
ラツァ(T): シュテヴァの異父兄
シュテヴァ(T): 水車小屋の跡取り
ほか
【第1幕】
時は19世紀後半の8月の暑い日、舞台はチェコのモラヴィア地方にある村。村娘イェヌーファは、水車小屋の跡取り息子シュテヴァとの子どもを妊娠しており、結婚しようと思っていますが、彼は酒飲みの遊び人。イェヌーファの継母で教会で働くコステルニチカは、彼が1年間禁酒するまで結婚は許さないとイェヌーファに言います。他方、シュテヴァの異父兄のラツァは、イェヌーファのことが昔から好きでした。ラツァは、シュテヴァが愛しているのは彼女の「リンゴのような美しい頬」だけだ言ってイェヌーファを挑発し、彼女と言い争いになります。このときラツァは、手に持っていたナイフで彼女の頬を傷つけてしまいました。
【第2幕】
5か月後の冬、イェヌーファは男の子を産みました。彼女と子どもをコステルニチカは村の人々の目が届かないように家に隠しています。シュテヴァは、イェヌーファの頬の傷を見て恋から冷めたと言い、すでに村長の娘と婚約していました。イェヌーファがシュテヴァの子を産んだことを知って、ラツァはショックを受けます。彼の様子を見てコステルニチカは、赤子はすでに死んでしまったのだと嘘をつきました。そしてイェヌーファが眠っている間に、コステルニチカは赤子を抱えて外に出て、凍る川の中に沈めたのです。目を覚ましたイェヌーファには、彼女が熱で数日間昏睡している間に、子は死んでしまったと説明しました。悲嘆にくれるイェヌーファに、ラツァは結婚を申し込みます。
【第3幕】
2か月後の春、イェヌーファとラツァが結婚するそのお祝いの日のこと。川から幼児の死体が発見されました。村人が集まる中、幼児が身に着けていたものから、イェヌーファはそれが自分の子だと確信します。コステルニチカは全てを告白し、罪を償うことになります。イェヌーファは一人でいきていくとラツァに伝えましたが、ラツァは自分もイェヌーファと一緒に生きていくと彼女に言ったのでした。
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【1】 遅咲きのオペラ作曲家
ヤナーチェクは、チェコ東部のモラヴィア地方の都市ブルノで活躍した作曲家です。モラヴィアに伝わる民謡を研究し、それを自らの作曲に活かし、民族主義的な国民オペラを創作しました。出世作であるこの『イェヌーファ』を40代で書き上げ、65歳を超えてから4つの傑作オペラを作曲しました。遅咲きのオペラ作曲家だったと言えます。
【2】 もう一人の主人公
このオペラは、一般に『イェヌーファ』と呼ばれていますが、ヤナーチェクは原作のタイトルである『彼女の養女』にこだわりがあったそうです。「彼女の」とは、イェヌーファの育ての親であるコステルニチカのこと。コステルニチカとは、名前ではなく「教会のおばさん」というような意味。教会で働く彼女は、このオペラのもう一人の主人公です。酒におぼれたイェヌーファの実父に代わり、後妻であるコステルニチカは彼女を一人手で育てます。第2幕で赤子を連れ去る場面でコステルニチカが歌うアリア「しばらくしたら…しばらくしたら…」"Co
chvila...co chvila..."の鬼気迫る場面が見どころです。
【3】 鬼気迫る最終場面
オペラ全体として見逃せないのが、やはり幼児が川で発見されてからの最後の場面。ドラマの展開とともに音楽が進み、台詞の抑揚を活かしたチェコ語のシュプレヒゲザングのような歌唱の連続で、緊張感が途切れることなく続きます。ここでタイトルロールのイェヌーファによって歌われるのが、アリア「みんな行ってしまった」"Odešli,
Jdi také!"です。第2幕で同じくイェヌーファが歌うアリア「祝福します、天女さま(イェヌーファの祈り)」"Zdrávas
královno"とともに、聴きどころとなっています。
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【CD】
マッケラス指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団
ゼーターシュトレーム(S) ランドヴァー(Ms) オフマン(T) ドヴォルスキー(T)
(録音1982年、DECCA) |
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マッケラスとウィーン・フィルによるヤナーチェクのオペラ・シリーズ。このディスクには、オペラの序曲として書かれたのでは、とされる序曲「嫉妬」や、第3幕最終場面のプラハ初演改訂版が比較できるように収録されています。
【DVD】
ナナシ指揮、グート演出
コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団、合唱団
グリゴリアン(S) マッティラ(S) スペンス(T) ピリグ(T)
(録画2021年、OPUS ARTE) |
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グリゴリアンの理想的なイェヌーファ役や、マッティラのコステルニチカ役など非常によくできた映像です。これを見ると、このオペラが現代に通じる普遍性を持っていることが感じられます。
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