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6.どんなホールで公演しているの?






新国立劇場の四面舞台

オペラは、大がかりな装置を使って舞台を作るので、比較的大きいホール・劇場で上演されます。ただオペラ団体は数多くあり、それぞれの規模に見合った場所を使っているので、一概に言い切れるものではありません。ここでは、東京にあってオペラを初めて観る人におすすめできるホール・劇場を一部紹介してみます。

まずオペラと言えば、1997年にオープンした「新国立劇場」です。新国立劇場は超高層ビルが並立する新宿副都心にあり、東京オペラシティ・コンサートホールなどと隣接しています。オペラ劇場、中劇場、小劇場という3つの劇場を持っていて、そのうちオペラ劇場と中劇場は「四面舞台」となっています。
 
「四面舞台」というのは、正面に見える主舞台のほかに、同じくらいの広さの舞台が客席から見えない左右と奥に用意してある舞台のことで、幕間にそれらの舞台を入れ替えることによって場面を瞬時に転換することができます。また、違うオペラの舞台を用意しておいて、次の日の公演に備えることもできます。まさにオペラを上演するための劇場です。
 
新国立劇場の音は、都会的でクリアな響きがあり、客席にも演奏者にも評判です。ソプラノ歌手の高橋薫子さんはオペラ雑誌で「歌いやすい」と言っています。
 
しかし、難点は客席のイスの配置です。明らかに設計段階のミスかと思われますが、サイドや後ろの方の席は、普通に座っても舞台が見にくくなってしまいます。また、前の人の頭で舞台が隠れてしまうことも多く、かといって乗り出して舞台を見ようすると、これまた後ろの人が見えなくなってしまう・・・という欠点があります。
 
 新国立劇場 オペラ劇場(1814席)
  東京都渋谷区本町1−1−1 京王新線 初台駅 徒歩1分



東京文化会館、オーチャード・ホール、NHKホール

東京上野にある「東京文化会館」は1961年に開場し、長い歴史を持ちます。訪れたことのある人も多いのではないでしょうか。ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、バイエルン国立歌劇場など、世界の超一流オペラハウスが、この東京文化会館で公演を行ってきました。
 
オペラ劇場様式のこのホールは、客席が5階までありますが、どの席も音がよく、クラシック音楽ファンの支持を集めています。音の響きは上質で、暖かみのある柔らかな響きが特徴です。
 
1998年に約1年に渡って大改修工事を行い、舞台設備を近代化しました。ますます魅力を増して、オペラ公演のために活躍しています。
 
 東京文化会館 大ホール(2303席)
  東京都台東区上野公園5−45 JR上野駅 公園口 徒歩1分
 
 
最近、オペラの公演でよく使われるようになってきたのが、「オーチャードホール」です。1989年に開場したこのホールは、渋谷109の横の文化村通りの坂道を上がったところにあり、渋谷駅前の喧噪から少し離れています。
 
オーチャードホールの特徴は、音響性能が良いといわれるシューボックス型というところです。シューボックス型とは「靴箱」のように長方形をしたホールのことを言います。長方形になっているため、ホールの横幅が狭く、側面からの反響が十分に得られるのです。オーチャードホールは国内最大級のシューボックス型ホールです。この大きなホールでオペラを観るのは実に爽快です。
 
 オーチャードホール(2150席)
  渋谷区道玄坂2−24−1 JR渋谷駅 徒歩7分
 
 
同じく渋谷には「NHKホール」があります。ご存じ紅白歌合戦などでも使われるおなじみのホールですよね。ドイツのカール・シュッケ社の設計・製作によるパイプオルガンもあり、NHK交響楽団の定期演奏会などが開かれています。
 
このホールは非常に大型で、舞台は大規模なオペラに対応できるように大きく作られています。客席数も多く、3677席。客席数が多いということは、一回の公演でたくさんのチケットを用意することができるということで、オペラの主催者側は助かりますし、人気のある公演のときにはオペラ・ファンにもありがたいところです。しかし、2,3階席となると、音の評判はイマイチのようです。なかなかうまくいかないものですね。
 
 NHKホール(3677席)
  渋谷区神南2−2−1 JR渋谷駅 徒歩12分、原宿駅 徒歩10分



どの座席を選べばいいの?

チケットを取るときに、座席を選べることがあります。このようなときにはどの席を選ぶのがいいのでしょうか。これは、やはりホール・劇場によって様々な特徴、つまりクセみたいなものがあるので、すべてに共通する答えはないと思いますが、少し考えてみたいと思います。
 
まず、より値段の高い席は、いい席であることは言うまでもありません。問題はその次です。
 
オペラの場合、私は、真ん中に近い席をおすすめします。というのも、オペラは舞台の全景を見なければなりません。サイド、もしくはそれに近い席ですと、舞台が欠けて見えないことがあります。多少は気にならないにしても、例えば、主役が重要なアリアをその見えないところに立って歌ったら、見えなくて残念ですよね。ですので、原則として、できるだけ真ん中に近い席を取った方がいいと思います。
 
次に、音の面から、上を向いたときにそのホールの天井が見える座席をおすすめします。つまり、例えば1階席で、2階席がバルコニーになっていて屋根のように覆いかぶさっている席よりも、それだったら、2階席、3階席の方がいい、ということです。特にチケットの価格が安い席は上の階の席になりがちですが、天井からの反響で音が良かったということはよくあります。東京文化会館の5階席などは音に関しては特等席、という人もいるくらいです。
 
さて最後に、オペラを何回か観てもなかなか楽しさがわからないという人には、最前列やその近くの前の方の席もおすすめできます。クラシックのコンサートの場合、あまり前の方だと、音のバランスが悪くて、好まない人も多いかもしれません。しかし、オペラを前の方で観ると、オペラ歌手の覇気や鼓動を直接感じることができます。細かい演技もよく見えますし、微妙な表情の違い、汗、埃っぽい舞台などを間近で体験することができるのです。これにはきっと圧倒されるのではないでしょうか。そして、新しい発見があるのではないでしょうか。ぜひ一度お試しください。
 
 
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