2023年新刊
名作オペラをやさしく解説
面白いほどわかる!
オペラ入門
名アリア名場面はここにある
神木勇介 著
青弓社 発行
定価1,800円+税
詳しくはこちら
|
オペラのことをいちから学ぶ
声、歌、音楽、演出について
オペラ鑑賞講座 超入門
楽しむためのコツ
神木勇介 著
青弓社 発行
定価1,600円+税
詳しくはこちら
|
「オペラ情報館」が
本になりました
オペラにいこう!
楽しむための基礎知識
神木勇介 著
青弓社 発行
定価1,600円+税
詳しくはこちら
|
|
【作曲】
アミルカレ・ポンキエッリ 1875~1876年に作曲
【初演】
1876年4月8日 ミラノ、スカラ座
【台本】
トビア・ゴッリオ(アッリゴ・ボーイトの筆名)(イタリア語)
【原作】
ヴィクトル・ユゴーの戯曲『パドヴァの専制者アンジェロ』
【演奏時間】
第1幕 55分
第2幕 40分
第3幕 40分
第4幕 35分 合計 約2時間50分
|
【時と場所】
17世紀、ヴェネツィア
【登場人物】
ジョコンダ(S): 歌手
エンツォ(T): ジェノヴァ公爵
ラウラ(Ms): アルヴィーゼの妻
アルヴィーゼ(Bs): ヴェネツィアの宗教裁判所長官
バルナバ(Br): 密偵
チエカ(A): ジョコンダの母
ほか
【第1幕】 ライオンの口
時は17世紀、舞台は水の都ヴェネツィア。さすらいの歌手ジョコンダは、船長のエンツォに想いを寄せています。しかし、彼の正体はジェノヴァ公爵で、かつて政敵の宗教裁判所長官アルヴィーゼに敗れ、ヴェネツィアから追放の身となり、恋人のラウラとも生き別れになっていました。そして、エンツォを追放した長官アルヴィーゼは、ラウラをも妻としていたのです。
ヴェネツィアでジョコンダの盲目の母チエカが魔女の疑いをかけられ、群衆がチエカを囲んで騒ぎとなります。そこに長官のアルヴィーゼとその妻ラウラが現れました。ラウラは、エンツォがジョコンダと共にいることに気づくと、夫にチエカを助けるように頼みます。アルヴィーゼは無罪を言い渡しました。チエカはラウラにお礼として自らのロザリオを献呈しました。
【第2幕】 ロザリオ
その夜、ラウラはエンツォと駆け落ちするため、彼の船に現れます。しかし、その船はすでに夫のアルヴィーゼの兵に囲まれていました。全てはこの機会にジョコンダを手に入れようとする密偵バルナバの仕組んだ罠でした。ジョコンダはラウラが手に母のロザリオを持っているのを見て、彼女が恋敵であり、母の恩人でもあることを知ります。ジョコンダは、ラウラとエンツォが船から逃げる手助けをしました。
【第3幕】 黄金の館
館に戻ったアルヴィーゼは、妻ラウラに、毒薬を飲んで死を選ぶように言い渡します。このとき密かにジョコンダは、ラウラに死を偽ることができる眠り薬を飲むように勧めます。ラウラが死んだと想い、逆上したエンツォは、自らジェノヴァ公爵の身分を明かし、アルヴィーゼを非難しますが、彼はその場で逮捕されました。
【第4幕】 オルファノ運河
ジョコンダはバルナバに、もしエンツォを救えるのなら自身を捧げてもよいと伝え、エンツォを牢獄から解放させました。エンツォと眠り薬から覚めたラウラの二人は、ジョコンダに感謝しつつ、小舟でヴェネツィアを脱出します。約束どおり、バルナバがジョコンダを手に入れようとしたとき、彼女は自身の胸をナイフで刺し、自ら死を選んだのでした。
|
【1】 イタリアの伝統的ロマン派・オペラ
ポンキエッリはイタリアの作曲家で、ヴェルディより20歳ほど若く、しかし、20歳ほど先に亡くなっており、その生涯は巨匠ヴェルディの活躍した中にありました。早くからオペラで成功したポンキエッリは、リコルディ社から委嘱されたオペラ『ラ・ジョコンダ』によって、オペラ史に名を刻んでいます。この作品は、音楽様式やドラマとしての展開については、イタリア・オペラやフランスのグランド・オペラなどの伝統を引き継いでいます。ポンキエッリは後にミラノ音楽院で作曲科教授となり、プッチーニやマスカーニなどを育成しました。
【2】 ボーイトの台本による重厚なドラマ
このオペラは、ヴィクトル・ユゴー(1802-1885)の戯曲を、リコルディ社の依頼で、当時活躍していたアリゴ・ボーイト(Arrigo Boito)が台本を書きました。ボーイトはその名の綴りを並べ替えたトビア・ゴリオ(Tobia
Gorrio)というペンネームを使用しています。物語に伏線とエピソードがかなり多く、登場人物も複雑な背景を持っており、重厚なイタリア・オペラが味わえます。ミラノ・スカラ座における初演も大成功でした。ポンキエッリはその後も作品の改訂を重ね、1879年のジェノヴァ再演版で現在も上演されています。
【3】 主要な登場人物によるオペラ・アリアの競演
重厚なドラマの中に、イタリア・オペラらしい歌が多くの聴きどころを作っています。例えば、恋人を想って歌うエンツォのロマンツァ「空よ、海よ!」"Cielo
e mar!"、ラウラのロマンツァ「舟人の星よ」"Stella del marinar!"、バルナバの邪悪なモノローグ「おお、記念碑か!」"O
monumento!"、アルヴィーゼのバスのアリア「彼女は死ななくてはならぬ」"Sì! Morir ella de'!"、チエカの歌う珍しいアルトのロマンツァ「女の声か、天使の声か」"Voce
di donna o d'angelo"、そしてジョコンダがオペラの終盤で歌う大型のアリア「自殺」"Suicidio!"など、有名なバレエ音楽「時の踊り」だけでなく、しっかりとオペラ・アリアを堪能したいところです。
|
【CD】
ヴィオッティ指揮
ミュンヘン放送管弦楽団、バイエルン放送合唱団
ウルマナ(S) ドミンゴ(T) ディンティーノ(Ms) アタネリ(Br) スカンディウッツィ(Bs) フィオリッロ(A)
(録音2002年、EMI CLASSICS) |
|
|
ドミンゴをエンツォ役に迎えたスタジオ録音。しかし、他の役にも実力者を揃え、このイタリア・オペラに正面から取り組みました。
【DVD】
カッレガーリ指揮、ピッツィ演出
バルセロナ・リセウ大劇場管弦楽団、合唱団
ヴォイト(S) マージソン(T) フィオリッロ(Ms) グェルフィ(Br) コロンバーラ(Bs) ポドレス(A)
(録画2005年、Arthaus Musik) |
|
|
現代的な衣裳ながら、効果的な色彩により、センスの良い舞台が実現しています。歌手陣も見事。特に男声の声と役者ぶりが見ごたえ、聴きごたえがあります。
|
|