トップ > オペラ・データベース > マノン





















2023年新刊
名作オペラをやさしく解説



面白いほどわかる!
オペラ入門
名アリア名場面はここにある

 神木勇介 著

 青弓社 発行
 定価1,800円+税

詳しくはこちら


オペラのことをいちから学ぶ
声、歌、音楽、演出について



オペラ鑑賞講座 超入門
楽しむためのコツ

 神木勇介 著

 青弓社 発行
 定価1,600円+税

詳しくはこちら


「オペラ情報館」が
本になりました



オペラにいこう!
楽しむための基礎知識

 神木勇介 著

 青弓社 発行
 定価1,600円+税

詳しくはこちら






マノン






オペラ・データ

【作曲】
ジュール=エミル=フレデリク・マスネ(1881〜83年)

【初演】
1884年1月19日 パリ、オペラ・コミック座

【台本】
アンリ・メイヤック、フィリップ・ジル(フランス語)

【原作】
アベ・プレヴォーの小説『騎士デ・グリューとマノン・レスコーの真実なる物語』

【演奏時間】
第1幕 40分
第2幕 30分
第3幕 60分
第4幕 20分
第5幕 20分  合計 約2時間50分



あらすじ

【時と場所】 
1720年頃、フランス

【登場人物】
マノン(S): 16才の娘
デ・グリュー(T): 騎士
レスコー(Br): マノンの従兄、近衛士官
デ・グリュー伯爵(Bs): デ・グリューの父
ギヨー(T): 貴族、金持ちの老人
ブレティニ(Br): 貴族、収税官
ほか

【第1幕】
時は1720年頃、舞台はフランス北部のアミアン。マノンはこの地に修道院に入るためにやってきました。従兄のレスコーが出迎えましたが、マノンを放っておいて自分は賭博に夢中になります。その隙に好色な貴族ギヨーが彼女に目をつけて言い寄ります。一方のマノンはというと、このとき出会った騎士デ・グリューとお互いに一目惚れしていました。マノンは修道院に入るのをやめて、デ・グリューと共にパリへ駆け落ちします。
 
【第2幕】
パリで生活する二人のもとに、貴族ブレティニを伴ったレスコーが、従妹のマノンを取り返しにきます。貴族ブレティニから「デ・グリューの父・伯爵が、彼を連れ戻しにくる。私といっしょに行きましょう」と聞いたマノンは、ブレティニが提示する贅沢な暮らしに心を揺さぶられます。その後、デ・グリューは、彼の父の配下に連れ去られてしまったのでした。
 
【第3幕】
貴族ブレティニのもとで享楽な生活を過ごしていたマノンは、偶然にもデ・グリューの父・伯爵に出会い、神学校に入ったデ・グリューの様子を聞きます。マノンはたまらずデ・グリューに会いにいきました。すでに敬虔な生活を送っていたデ・グリューは、マノンが現れても拒絶しようとします。しかし、ついに二人は再び駆け落ちするのでした。
 
【第4幕】
享楽な暮らしに慣れていたマノンは、デ・グリューに賭博場で儲けることを勧めます。気が進まないデ・グリューでしたが、貴族ギヨーと勝負して勝ち続けます。ギヨーがいかさま行為だと言いがかりをつけると、デ・グリューは怒って手を出そうとします。そのとき父・伯爵が現れて彼をいさめました。ギヨーが連れてきた警察は、デ・グリューとマノンを連行していきました。
 
【第5幕】
デ・グリューは父の政治力で解放されましたが、マノンはアメリカに流刑となります。マノンを救い出そうと、港にデ・グリューと従兄レスコーが向かいます。レスコーが見張りに金を掴ませることによって、デ・グリューは疲労でやつれきったマノンと再会できました。マノンは「私のせいでこんなことに・・・」と許しを乞いながらもすでに衰弱しており、デ・グリューの腕の中で力尽きてしまったのでした。



解説(ポイント)

【1】 マスネの代表作
 
『マノン』と同じ原作によるオペラは、有名なプッチーニの『マノン・レスコー』や、オーベールの作品など他にもあります。マスネは原作を少し変えた形で作曲に臨みましたが、作曲中は原作者プレヴォーが滞在したことのあるオランダのホテルで作曲するなどしています。オペラは大成功を収め、初演されたオペラ・コミック座で、30年間に800回以上も上演されました。
 
【2】 欲望に弱いマノン
 
なんといってもこのオペラはタイトルロールのマノンが重要な役になっています。なぜなら、本当は修道院に行くはずだった彼女が、デ・グリューと出会うことによって、その後の人生を、目の前の華やかに見えたものを追い続けるようにして生きていくことからドラマが進んでいくからです。ドラマを進めるのに、音楽を背景に台詞を入れるメロドラマという手法を採っていますが、転々とするそれぞれの場面の中では、マノンの短くても濃い人生が映し出されています。マノンにはいくつものアリアが用意されています。
 
【3】 マスネの美しい音楽
 
マスネの甘美なメロディーと和音は、このオペラでも実に多くの聴きどころを作っています。短いアリアや重唱を多く配置して、聴衆に受け入れやすいオペラとしました。第3幕第2場では、神学校にいるデ・グリューを描いています。マスネの叙情的な音楽は、敬虔な場面とも実にマッチしており、時折聞こえるオルガンの音と共に、魅力的な雰囲気を醸し出しています。



おすすめディスク

【CD】
パッパーノ指揮
ラ・モネ交響楽団、合唱団
ゲオルギュー(S) アラーニャ(T) パトリアルコ(Br) ファン・ダム(Br)
(録音1999年、EMI CLASSICS)
 
ゲオルギュー&アラーニャ夫妻による美しいマスネの音楽の世界。主役だけでなく、脇役もきっちり固められて、理想的なディスクになっています。

【DVD】
ロペス=コボス指揮、デュフロ演出
パリ・オペラ座管弦楽団、合唱団
フレミング(S) アルバレス(T) シェニョー(Br) ヴェルヌ(Bs)
(録音2001年、TDK CORE)
 
デュフロの演出は、背景はごくシンプルにして衣裳は豪華にしてあります。背景は客席の想像にお任せといったところでしょうか。このオペラは場面が多く切り替わるので、この手法によってうまく全体がまとまりました。フレミングとアルバレスの歌唱も見事。







Copyright (C) 2005-2023 Yusuke Kamiki. All Rights Reserved.