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【作曲】 ジュゼッペ・ヴェルディ(1880〜86年)
【初演】
1887年 ミラノ、ミラノ・スカラ座
【台本】 アリーゴ・ボーイト(イタリア語)
【原作】 ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『オセロ』
【演奏時間】
第1幕 30分
第2幕 35分
第3幕 30分
第4幕 35分 合計 約2時間10分
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【時と場所】 15世紀末、キプロス島
【登場人物】
オテロ(T): ヴェネツィア共和国の将軍
デズデーモナ(S): オテロの妻
イアーゴ(Br): オテロの旗手
カッシオ(T): オテロの副官
エミーリア(Ms): デズデーモナの侍女、イアーゴの妻
ロドヴィーコ(Bs): ヴェネツィアからの特使
ほか
【第1幕】
時は15世紀末。舞台は地中海東部のキプロス島。キプロス島はこの頃、ヴェネツィア共和国の領土でした。ヴェネツィア共和国の将軍の一人でアフリカ出身の黒人(ムーア人)オテロは、キプロス島の近海に侵入したトルコ艦隊を撃破して、キプロス島の総督に就任します。
キプロス島では、戦勝を祝っていましたが、オテロの旗手のイアーゴは、自分のライバルであるカッシオを副官にまで出世させたオテロのことを憎んでいます。そこでイアーゴは、宴の席で副官カッシオに無理やり酒を飲ませ、喧嘩を起こさせます。騒ぎに駆けつけた将軍オテロは、カッシオの醜態を見て副官を解任しました。
【第2幕】
副官を解任されて落ち込むカッシオに、イアーゴは、オテロの妻でヴェネツィア貴族の美しき娘デズデーモナに取りなしを頼むように勧めます。そしてその一方で、イアーゴはオテロに、夫人とカッシオの仲が怪しいと吹き込んだのです。
デズデーモナからカッシオの復職を頼まれたオテロは、妻のことを疑い始め、いら立ちます。
【第3幕】
さらにイアーゴは、デズデーモナの侍女をしている自分の妻エミーリアから、デズデーモナのハンカチを強引に奪い、それをカッシオの家に置いておきます。そしてそのハンカチをカッシオが持っているところを、オテロに見せたのです。オテロは妻の裏切りを確信し、殺害することを決意します。
ちょうどその時、ヴェネツィア本国からロドヴィーコ特使がやって来て、将軍オテロを本国に呼び戻し、キプロス島の後任の総督にはカッシオを就任させるという命令を下しました。
【第4幕】
夜も更けたデズデーモナの寝室。彼女は不吉な予感におびえながら祈り、そして横になります。そこへ現れたオテロは、彼女が懇願するのも聞き入れず、首を絞めて殺してしまいます。駆けつけた侍女エミーリアはオテロに、ハンカチを奪ったのはイアーゴで、実はすべて彼の計略だったと伝えます。オテロはすでに死んでしまった妻を見て絶望し、自ら短刀で胸を刺し、倒れている彼女の側に横たわって絶命するのでした。
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【1】 シェイクスピア原作のドラマ
『オテロ』は、ヴェルディが作曲した26のオペラのうち25番目の作品で、ヴェルディが74才のときの作品です。ヴェルディはじっくりと時間をかけて作曲しました。原作はシェイクスピアで、この偉大な作家の戯曲と、円熟期にあったヴェルディの才能とが合わさって、オペラ史上、最もすぐれた作品のひとつとなっています。
【2】 ドラマティック・テノール
タイトルにもなっているオテロ役は、テノールの中で最も劇的な表現を必要とするドラマティック・テノールの役です。ひと握りの最高のテノールにしか、十分に歌いこなすことができないとされる難役です。一昔前はマリオ・デル・モナコ、最近まではプラシド・ドミンゴといったテノールがこの役を得意としていました。現在では、ホセ・クーラが「オテロ歌い」として人気があります。
【3】 デズデーモナの歌
疑いの晴れぬまま殺されてしまう悲劇のヒロイン、デズデーモナには、すばらしい歌が用意されています。第1幕のラストにはオテロとの限りなく美しい「愛の二重唱」、第3幕には有名な2つのアリア「柳の歌」「アヴェ・マリア」があります。鑑賞の際には、ぜひプリマ・ドンナの名唱に期待してください。
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【CD】
チョン・ミュンフン指揮
パリ・バスティーユ歌劇場管弦楽団、合唱団
ドミンゴ(T) ステューダー(S) レイフェルクス(Br)
(録音1994年、Deutsche Grammophon) |
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チョン・ミュンフンがものすごい力で歌手とオーケストラを引っ張り、緊張感あるドラマが実現しています。オテロ役のドミンゴも最高の出来。その少しヒステリックな表現が、オテロの性格を浮き上がらせます。イアーゴ役のレイフェルクスもこの役に実直にアプローチしています。中身の濃いディスクのひとつ。
【DVD】
ムーティ指揮、ヴィック演出
ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団
ドミンゴ(T) フリットリ(S) ヌッチ(Br)
(録音2001年、TDK Core) |
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“皇帝”ムーティが、初めて『オテロ』を振ったときの映像です。このDVDは、非常に完成度が高く、オペラを初めて観る人にもぜひおすすめしたいディスクです。オテロ役のドミンゴと、デズデーモナ役のフリットリによる第1幕ラストの「愛の二重唱」は、音楽的にも演出的にも極めて美しい場面となっています。それに、達者な演技を見せるイアーゴ役のヌッチがこのオペラを恐ろしい物語に仕立て上げ、ヒーローとヒロインの二人に食ってかかるのです。
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