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ペレアスとメリザンド






オペラ・データ

【作曲】
クロード・ドビュッシー(1893〜1902年)

【初演】
1902年4月30日 パリ、オペラ・コミック座

【台本】
モーリス・メーテルランク、作曲者が改訂(フランス語)

【原作】
メーテルランクの戯曲『ペレアスとメリザンド』

【演奏時間】
第1幕 30分
第2幕 30分
第3幕 30分
第4幕 30分
第5幕 30分  合計 約2時間30分



あらすじ

【時と場所】 
いつとも知れない時、架空のアルモンド王国

【登場人物】
ペレアス(T、Br): アルケルの孫
メリザンド(S): 森の泉にいた神秘的な乙女
ゴロー(Br): ペレアスの異父兄
アルケル(Bs): アルモンド王
ほか

【第1幕】
時はいつとも知れず、舞台は架空のアルモンド王国。アルモンド王アルケルの孫のゴローは、森の中で道に迷いさまよっていると、泉のほとりで泣いている乙女メリザンドに出会います。ゴローは王アルケルから他の女性との結婚を勧められており、メリザンドと結婚して城に戻れるように取りはからってもらうため異父弟のペレアスに手紙を書きました。そして、二人は城に入りました。
 
【第2幕】
あるとき、ペレアスはメリザンドを「盲目の泉」に誘い、いっしょに出掛けます。しかし、メリザンドはこの泉に結婚指輪を落として見失ってしまいます。ちょうどその時、森で狩をしていたゴローは落馬して怪我をしていました。ゴローは、怪我の看病をしていたメリザンドが指輪をしてないことに気付いて激昂し、指輪を捜すように強要しました。
 
【第3幕】
場面は変わって、星空の美しいある夜。城の塔の窓辺でメリザンドは長い髪をとかしていると、外にペレアスが現れ、彼は彼女の美しさに心を奪われます。窓辺から落ちているメリザンドの髪に手を伸ばし首に巻き付けて抱擁するペレアス。その光景を見ていたゴローは、子供のような遊びはやめなさいとペレアスを咎めます。そしてメリザンドが妊娠していることを伝えました。
 
【第4幕】
数ヶ月後、その後もペレアスとメリザンドが二人でいるところを知っていたゴローは、怒りをメリザンドにぶつけ、彼女の髪をつかんで手荒な仕打ちをします。
一方、何かを感じ取ったペレアスは旅に出ることを決意します。出発前の最後の夜、ペレアスとメリザンドは「盲目の泉」で待ち合わせます。激しく愛を告白し、抱擁する二人。そのとき、そこへゴローが現れ、ペレアスを剣で刺しました。そして、逃げるメリザンドをゴローは無言で追うのでした。
 
【第5幕】
ゴローによって負わされた傷で、瀕死でベッドに横たわったメリザンドは、それでも女の子を授かります。ゴローは自分を責めながらも、メリザンドにペレアスのことを問います。メリザンドは「愛したけれど、罪は犯していない」と答え、生まれた子供に手を伸ばしながら息を引き取ったのでした。



解説(ポイント)

【1】 ドビュッシー唯一のオペラ作品
 
ピアノ曲「月の光」「亜麻色の髪の乙女」などで有名なドビュッシーの唯一のオペラがこの『ペレアスとメリザンド』です。パリ音楽院時代のドビュッシーはワーグナーに傾倒しており、特に『トリスタンとイゾルデ』にはかなりの影響を受けましたが、やがてそこから離れて独自の世界観を打ち立てます。20世紀に入りすぐ、ドビュッシーは『トリスタンとイゾルデ』の正反対に位置するこのオペラを書いて、オペラ界に新たな可能性を切り開きました。
 
【2】 感覚を重視した印象派オペラ
 
『ペレアスとメリザンド』の原作は、『青い鳥』で有名なベルギーの象徴主義の詩人メーテルランクの戯曲で、この戯曲をほぼそのままの形でオペラ化しました。象徴主義の名が示すとおり、物語は意味ありげな暗示に満ちており、そういう霧に包まれたかのような世界にドビュッシーは音楽を付けています。理念や思想とは遠く離れた感覚的な音楽表現が、美しい情景描写を実現しています。
 
【3】 美しき名場面
 
このオペラには、オペラに付き物のアリアなどはないのですが、ささやくように歌われるフランス語の歌唱は、全体を通して美しい世界を創り出します。聴きどころとしては、「全体の雰囲気」とでも言えるでしょうか。第3幕でメリザンドが塔の上からその長い髪を落とす場面は、このオペラで最も注目される名場面となっています。



おすすめディスク

【CD】
アバド指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団
ル・ルー(Br) ユーイング(S) ファン・ダム(Br) クールティス(Bs)
(録音1991年、Deutsche Grammophon)
 
このオペラの定盤として、アバドとウィーン・フィルの演奏があります。このディスクはドビュッシーが何年もかけて修正した箇所も取り込んでいて、信頼できる演奏の一つです。

【CD】
ハイティンク指揮
フランス国立管弦楽団、フランス放送合唱団
ホルツマイアー(Br) フォン・オッター(S) ナウリ(T) ヴェルネ(Bs)
(録音2000年、Radio France)
 
ペレアスとメリザンドの両タイトル・ロールに、柔らかく美しい声を持つホルツマイアーと実力者フォン・オッターという現在望みうる最高の二人が共演しています。







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