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リゴレット






オペラ・データ

【作曲】
ジュゼッペ・ヴェルディ(1850〜51年)

【初演】
1851年3月11日 ヴェネツィア、フェニーチェ座

【台本】
フレンチェスコ・マリア・ピアーヴェ(イタリア語)

【原作】
ヴィクトル・ユーゴーの戯曲『逸楽の王』

【演奏時間】
第1幕 50分
第2幕 30分
第3幕 30分  合計 約1時間50分



あらすじ

【時と場所】 
16世紀、イタリアのマントヴァ

【登場人物】
リゴレット(Br): 公爵に仕える道化師
ジルダ(S): リゴレットの娘
マントヴァ公爵(T): 領主
スパラフチーレ(Bs): 殺し屋
マッダレーナ(Ms): スパラフチーレの妹
モンテローネ伯爵(Bs): 領地内の伯爵
ほか

【第1幕】
時は16世紀、舞台はイタリアのマントヴァ、公爵の館。好色な領主マントヴァ公爵は、モンテローネ伯爵の娘をたぶらかしたばかり。公爵に怒りをぶつける伯爵に対して、公爵に仕える道化師リゴレットが伯爵を笑いものにします。いつも人を嘲笑する役のリゴレットは、他の家臣たちからも恨まれていました。伯爵は「父親の苦悩を笑うお前は、呪われよ」と言い捨てます。内心、焦るリゴレット。実はリゴレットには、隠し育てていた一人娘がいたのでした。
これも運命か、リゴレットの娘ジルダは、教会でマントヴァ公爵と出会っていました。貧しい学生だと嘘をついてジルダに接近する公爵。世間知らずのジルダは、すっかり恋に落ちていました。
このとき、リゴレットに恨みを持つ公爵の家来たちは、リゴレットが「愛人」を囲っているという噂を聞きます。それなら、その女を公爵の館に誘拐してきて、道化師リゴレットをいつもとは逆に笑いものにしてやろうと企てます。そして見事、この誘拐は成功しました。
 
【第2幕】
事情を知らないマントヴァ公爵は、家来たちがジルダを館に連れてきたのを知って喜びます。その後、娘がさらわれたことに気づいたリゴレットも、公爵の館にやって来ます。そこで父娘は再会。ジルダは父に、恋に落ちたのは事実だが、昨夜、不意にさらわれて恥ずかしい思いをしたと泣きながら説明します。リゴレットの怒りは公爵へ向けられ、彼は殺意を抱きます。
 
【第3幕】
舞台は田舎の居酒屋。その中でマントヴァ公爵は、今度は殺し屋スパラフチーレの妹マッダレーナに手を出しています。未だ公爵への恋心を捨てきれないジルダに、リゴレットはその姿を外から覗かせ、諦めさせようとします。
その上でリゴレットはスパラフチーレに大金を渡し、公爵の殺害を依頼します。嵐の吹き荒れる夜、スパラフチーレが殺害の準備に入ると、公爵に恋をした妹マッダレーナが殺害を止めるように訴えます。金をもらったので誰か身代わりが必要だというスパラフチーレの言葉を、壁穴から秘かに聞いてしまったジルダは、自らが身代わりになることを決意しました。
リゴレットはスパラフチーレから公爵の死体が入っている袋を受け取り、中を確認して驚愕します。そこには自分の愛娘の姿があったのです。呪いが現実となり、彼は崩れ落ちたのでした。



解説(ポイント)

【1】 ヴェルディの地位を決定づけた傑作
 
『リゴレット』の原作はユーゴーの戯曲『逸楽の王』でしたが、当時のフランス王をモデルにした実話として物議を醸し、初演の翌日に上演禁止となりました。ヴェルディがオペラ化するに当たっても、舞台をフランスからイタリアに移し、架空の貴族の話に変えて検閲をクリアしました。このオペラは大成功し、ヴェルディ中期の傑作となり、ヴェルディは大作曲家の地位を得ることとなりました。
 
【2】 アリアとドラマ
 
このオペラには、タイトルロールのリゴレットのアリア「悪魔め、鬼め」や、ジルダのアリア「慕わしい人の名は」など有名なアリアがあります。これらのアリアは、オペラの進行を乱さずドラマにそって挿入されていて、オペラ全体を盛り上げることに寄与しています。また、マントヴァ公爵の歌うアリア「女心の歌」も、オペラを代表する歌としてよく耳にするメロディーだと思います。プレイボーイの公爵にぴったりの曲です。
 
【3】 卓越した登場人物の心理描写
 
ヴェルディは、この『リゴレット』という女、誘拐、殺人と、かなり異色のドラマをオペラ化しました。この台本の巧みな心理描写を音楽で再現できると感じたのでしょうか。主役陣もソプラノ、メゾ・ソプラノ、テノール、バリトン、バスがバランスよく配置されており、効果的な音楽づくりとなっています。特に第3幕の四重唱「美しい恋の乙女よ」は、オペラ史上、最高の四重唱と言われています。



おすすめディスク

【CD】
ジュリーニ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団
カップッチッリ(Br) コトルバス(S) ドミンゴ(T) ギャウロフ(Bs) オブラスツォワ(Ms) モル(Bs)
(録音1979年、Deutsche Grammophon)
 
指揮者のカルロ・マリア・ジュリーニが、このオペラに内在する音楽の魅力を、見事に引き出しました。そして精神の奥にまで辿り着くかのように、深い演奏。タイトルロールのカップッチッリ、またその他のキャストも同様に味わい深い歌唱を聴かせてくれます。


【CD】
ムーティ指揮
ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団
ブルゾン(Br) ロスト(S) アラーニャ(T) カヴラコス(Bs) ペンチェーヴァ(Ms) ジュゼッピーニ(Bs)
(録音1994年、SONY)
 
レナート・ブルゾンのリゴレット役を聴いていると、その陰影のある声の響きが、オペラの主題の「呪い」を思い起こさせます。ムーティの指揮は、いつもながらスッキリとして、それでいてドラマティックな音楽を創り出しています。







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