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1. 一般に、オペラやオラトリオで歌われる旋律的な独唱曲のことを言います。オーケストラの伴奏等によって歌われ、その態様は時代によって様々な形式があります。会話を進行させる叙述的なレチタティーヴォの対概念とされ、形式的にはアリアの歌詞は韻文が用いられ、反復されることも多くあります。
2. 最初期のアリアとして有名な曲には、モンテヴェルディのオペラ『アリアンナ』から、唯一現存している部分である「私を死なせてください(アリアンナの嘆き)」"Lasciatemi
morire!" があります。用語としてアリアが使われた最初の例は、マッツォッキ作曲のオペラ『アドニスの足かせ』で、独唱や重唱がアリアと表記されました。18世紀イタリア・ナポリ楽派のオペラではダ・カーポ・アリアが典型となり、3部形式のうち反復された再現部で歌手の技巧が披露されました。次第にアリアとして独立した楽曲をオペラに含むことが、オペラ全体の流れを阻害すると考えられるようになると、明確に段落性を持つ形式としてのアリアが解体されていきました。ただし、その後も一般的には、人物の特定の感情を表現した一場面をアリアとして扱っています。
3. アリアの音楽的な特徴としては、旋律的であることに加え、華やかな装飾が施されたパッセージの部分で、歌手の技巧が示される機会にもなっているところです。内容としては、高揚した感情を表現したり、心情を吐露したりする場面となります。また、アリアを歌うことで人物がオペラの中で主役級の役割を持つことが暗示されます。
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ダ・カーポ・アリア da capo aria [伊] |
1. 2節からなる歌詞で、第1節が提示された後、それと対比的な第2節が歌われます。続いて、第1節が反復されますが、この部分は記譜されず、反復・終止(da
Capo al Fine)が指示されることになります(A / B / A の形式)。一般に、繰り返されたときには多くの装飾音が施され、この部分の歌唱で歌手の技量が試されるのです。
2. モンテヴェルディのオペラを始まりとして、その後、A.スカルラッティなどナポリ楽派の時代に、バロック・オペラのアリアの主要な形式となりました。バッハやヘンデルの作品でも使用されています。
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アリエッタ arietta [伊] ariette [仏] |
小規模なアリア、小さいアリアの意味。短く、簡単な形式のアリア。例えば、『セビリャの理髪師』第2幕でバルトロが歌う「お前が側にいるときは」"Quando mi sei vicina"、『魔弾の射手』第2幕でエンヒェンが歌う「すらりとした若者がやって来たら」"Kommt ein schlanker Bursch gegangen" など。
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18世紀のオペラにおいては、ダ・カーポ部分を持たない短いアリアを指し、例としては、『フィガロの結婚』第2幕冒頭で伯爵夫人が歌う「慰めの手を差し伸べてください、愛の神よ」"Porgi,
amor, qualche ristoro" が挙げられます。その後、『セビリャの理髪師』第1幕でロジーナが歌う「いまの歌声は」"Una
voce poco fa" のように主役の歌手が登場の際に歌うアリアとして使われました。
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短いアリアの形式の一つで、19世紀のイタリア・オペラでは、アリアや二重唱におけるカヴァティーナ・カバレッタ形式の中で、急速なテンポで歌われる終結部分を指します。
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主にベルカント・オペラなどにおける大規模なアリアや二重唱の形式。前半のカヴァティーナの部分では、比較的緩やかなテンポで情感が込められた旋律が歌われ、その終結部に技巧的なカデンツァが置かれることが多い。その後の経過的なシェーナの部分で新たな感情や物語の展開が加わり、後半のカバレッタの部分では、急速なテンポで感情的に歌われて音楽が盛り上がります。合唱などが加わってさらに力強く結ばれることもあります。代表的な例としては、『椿姫』第1幕のヴィオレッタが歌うアリア「ああ、そはかの人か〜花から花へ」"Ah!
fors' è lui che l'anima... Sempre libera degg'io folleggiare" が挙げられます。また、『イル・トロヴァトーレ』第3幕のアリア「ああ、そう、愛しい人よ~見よ、恐ろしい炎を」"Ah!
sì, ben mio… Di quella pira l'orrendo foco" では、マンリーコのアリアに加え、シェーナで展開した後、合唱が加わって劇的な名場面を作っています。
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「アリア風の」という意味で、レチタティーヴォの中間部分や終結部分に現れる旋律的な楽節。レチタティーヴォとアリアの中間的なもの。例えば、『魔笛』第1幕のフィナーレの冒頭、タミーノと弁者が対話する場面で、弁者が去り際にアンダンテで「友情の手がお前を導き」"Sobald dich führt der Freundschaft Hand" と短いフレーズが旋律的に歌われます。
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イタリア語で「歌」の意味で、もともと地方民謡を意味していました。現在では、イタリアのポピュラーソング「帰れソレントへ Torna a Surriento(クルティス作曲)」「オーソレミオ
O sole mio(カプア作曲)」など指します。オペラでは、特にドラマの展開とは離れて、独立した劇中歌として挿入される歌を指すことが多くあります。例えば、『セビリャの理髪師』第1幕でアルマヴィーヴァ伯爵がロジーナに向かって歌う「私の名を知りたければ」"Se
il mio nome saper voi bramate" はカンツォーネと明記されており、また、『オテロ』第4幕でデズデーモナが歌う「柳の歌」"Piangea
cantando nell’erma landa" は、一つのカンツォーネを思い出して歌う場面でもあります。なお、「カンツォネッタ」はカンツォーネの縮小詞であり、例えば、『ドン・ジョヴァンニ』第2幕のドン・ジョヴァンニがセレナーデとして歌う「さあ、窓辺においで」"Deh!
vieni alla finestra" などがあります。
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英語でロマンスのことで、元来、バラード風の有節歌曲を指しました。オペラでは、特に喜劇の中にあって感傷的な心情を表す歌として用いられています。『後宮からの逃走』第3幕の第18番、『魔弾の射手』第3幕の第13番の例などドイツのジングシュピールでいくつか使用例があります。イタリア・オペラでは、『アイーダ』第1幕でラダメスが歌う「清きアイーダ」"Celeste
Aida" など、ヴェルディが用語としていくつかの楽曲に使用しました。
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18世紀から19世紀のオペラ・コミックやオペレッタで用いられた一つの旋律を異なる歌詞で繰り返し歌う有節歌曲の一種で、軽妙な性格を持ちます。例としては、『ホフマン物語』第1幕第1景の合唱を伴ったミューズのクプレ、『こうもり』第3幕のアデーレが歌う「田舎娘に扮するときは」"Spiel’ ich die Unschuld vom Lande" などが挙げられます。
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短い時間の中で、できるだけ多くの言葉を発して早口で歌う歌。18世紀のイタリアのオペラ・ブッファで多く使用され、その早口な様が滑稽さを際立たせるのです。モーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』第1幕のバルトロのアリア「仇討ち、そう仇討ちこそ」"La
vendetta, oh la vendetta" や『ドン・ジョヴァンニ』第1幕のレポレッロのアリア「奥様、これが恋人のカタログ」"Madamina,
il catalogo è questo" が例として挙げられ、その後もロッシーニ、ドニゼッティのオペラ・ブッファなどで効果的に用いられています。
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シャーベット・アリア aria del sorbetto [伊] |
19世紀イタリア・オペラにおいて、観客が公演の途中でアイスを食べるために中座できるよう、脇役が歌う簡単な楽曲のこと。
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退場アリア aria di entrata [伊] |
登場人物がそのアリアを歌った後、舞台裏に下がることがありますが、その際に歌われるのが退場アリアです。18世紀のナポリ派オペラで、主役が歌うアリアは、終結部で華やかな装飾を施した歌唱を披露し、その後、退場することが多くありました。
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オペラの登場人物が発狂して悲劇的な結末を迎える場面のこと。17世紀にヴェネツィア・オペラで初めて使用され、18世紀になるとヘンデルの『オルランド』以降、オペラ・セリアによく現れる場面となりました。19世紀のロマン派オペラにも多く見られ、特にドニゼッティの『ランメルモールのルチア』の第3幕第2場のルチアの狂乱の場「彼の優しい声が~この世の苦しい涙を」"Il dolce suono… Spargi d’amaro pianto"がよく知られています。特に高音を響かせるコロラトゥーラ・ソプラノのアリアは、狂乱の表現との親和性が高かったとも言えます。近代オペラでも登場人物が狂乱の状態に陥る例は、R.シュトラウス『エレクトラ』、ベルク『ヴォツェック』、ブリテン『ピーター・グライムズ』など多く見られます。
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オペラの登場人物の独白部分。通常のドラマを進めるためのダイアローグ(dialog、会話)に対して、一人が独立して比較的長く歌い続けることで場面が作られることがあります。ワーグナーの『さまよえるオランダ人』の第1幕には、呪われた船長のオランダ人役による長大なモノローグ「期限は切れた〜幾度も海の底深くに」"Die
Frist ist um... Wie oft in Meeres tiefsten Schlund"があります。歌手の一人に場面が任されることから、その技量の良し悪しに左右されますが、オペラ上演の中で名場面となることも多いです。
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