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「オペラの構成」に関する用語







幕 act [英] atto [伊] Akt, Aufzug [独] acte [仏]

1. オペラにおける主要な区分であり、一つの幕の中で、ドラマとしては一定のまとまりと盛り上がりが設定されます。幕の中は、しばしば場に区分されます。実際に歌劇場の内部で、舞台と客席を隔てる形の布状の幕(curtain [英])が設置され、それが開いたり閉じたりすることで、オペラの場面の転換や時間の経過が区分されるのです。上演に際しては、幕間に休憩をとるのが常ですが、演出等を理由として休憩を挟まずに続けて上演されることもあります。

2. 最初期のオペラは、ギリシャの古典劇に倣って5幕に区分されました。17世紀のヴェネツィア・オペラでは3幕構成が標準となり、オペラ・セリアでも一般に用いられました。オペラ・ブッファでは2幕構成も見られます。ロマン派以降は、一般に2幕から5幕の構成が自由に採用されています。また、1幕もののオペラも数多く存在し、例を挙げると、ワーグナーの『ラインの黄金』、R.シュトラウスの『サロメ』、プッチーニの『ジャンニ・スキッキ』、ラヴェルの『スペインの時』などです。イタリア・ミラノの楽譜出版の老舗ソンゾーニョ社は、新しいオペラ作曲家を発掘するために1幕オペラの作曲コンクールを開催し、マスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナ』は、その第2回の優勝作品でした。



場 scene [英]

主な登場人物が入れ替わり、ドラマの内容の変化を内容とする区切り。1つの幕がいくつかの場に区分され、これらの場はオペラ全体を通して番号が振られます。



景 tableau [仏]

オペラ全体をいくつかに区分する単位のことで、情景の変化によって表示されることがあります。また、20世紀オペラでは、幕の区分がなく全体の小区分として景と分割したものがあります。



序曲 overture [英]

オペラ作品の冒頭、開幕前に置かれることを意図して作曲されたオーケストラ曲のこと。バロック期のオペラハウスでは、オペラの上演開始前の客席が騒がしく、また、遅刻をしてくる人も多くいたため、まずは客席を舞台に集中させる必要から序曲を演奏することでオペラが開幕することを周知したとされます。初期のオペラ、例えば、モンテヴェルディの『オルフェオ』では、「トッカータ」としてファンファーレのような短い器楽曲が置かれました。フランスではリュリやラモーが緩急の2部、緩急緩の3部形式とされる手法を用います。17世紀後半のイタリアでは急緩急の3部形式をA.スカルラッティが始め、シンフォニアと呼ばれました。これは、古典派の交響曲の先駆となります。18世紀以降の序曲では、ソナタ形式が用いられました。また、前もってオペラの内容を先取りするように提示したりするものがあり、ウェーバーの『魔弾の射手』序曲は、最も成功している例として挙げられます。ワーグナーの楽劇では、楽劇全体の一つの構成要素として前奏曲が置かれ、終始せずにそのまま最初の場面が導かれます。なお、オペラの中の素材を用いて、それをつなぎ合わせてメドレーとして序曲で提示しているものをポプリ形式とも言います。



前奏曲 prelude [英]

オペラ作品の冒頭部分に置かれ、その最初の場面への導入の役割を担うオーケストラ曲のこと。序曲の一種であるが、形式は自由で、かつ、終止せずにそのまま幕の最初の場面が始まります。第2幕への前奏曲などとして各幕の冒頭に置かれることも多くあります。ワーグナーは、『ローエングリン』から、序曲ではなく前奏曲を採用しました。



間奏曲 intermezzo [伊] interlude [仏]

オペラの幕間や、場面転換のときに挿入されるオーケストラ曲のこと。ビゼーの『カルメン』では、各幕の間に間奏曲が挟み込まれています。その効果としては、時の経過を表すこと、出来事を描写すること又はそれを象徴する意味を描くこと、登場人物の心情の変化を示すこと、次の場面の印象を先取りするものなどがあります。有名な間奏曲として、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲」や、マスネの「タイスの瞑想曲」などが挙げられます。



プロローグ prologue [英]

オペラの冒頭、第1幕の前に置かれる幕のこと。あるいは、その開演にあたり、登場人物が前口上を述べること。プロローグとしては、レオンカヴァッロの『道化師』の冒頭にトニオ役が道化師の姿で前口上を述べるアリア「御免下さい、紳士淑女の皆様方」"Si può? Signore! Signori! " が卓越した一場面を作っている例として挙げられます。その他にも、ヴェルディの『シモン・ボッカネグラ』では、本編の25年前の出来事がプロローグとして置かれて物語の核心が描かれました。R.シュトラウスの『ナクソス島のアリアドネ』では、本編のオペラを上演する前の準備の様子が描かれ、そこにまつわる論点、すなわち、オペラ歌手、制作サイド、スポンサーなどの悲哀が盛り込まれるなど多くの工夫が施されています。また、ワーグナーの『ラインの黄金』は、『ニーベルングの指環』全体の序夜として位置づけられ、オペラそのものが『指環』のプロローグとしての意味合いとも言えるでしょう。



フィナーレ finale [伊]

オペラの各幕における最終曲又は最終場面のこと。通常、盛り上がりを見せて終幕となることから、アンサンブル(重唱)や合唱が加わり、規模が大きくなって終結します。最初期のオペラでは、簡易な合唱が使用されました。17世紀のヴェネツィア・オペラでは二重唱が使用され、18世紀のオペラ・ブッファではアンサンブル・フィナーレと呼ばれる規模の大きな場面が創作されました。19世紀以降、オペラの様々な要素が取り入れられ、各幕の終わり、オペラの終わりを印象付ける工夫が施されていきました。








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