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オペラ opera [伊] [英] Oper[独] opéra [仏] |
オペラは1600年前後にイタリアで生まれた舞台芸術の一様式で、フィレンツェにおいてルネサンス運動の一環としてギリシャ悲劇を復興しようと始まったものです。オペラはそこから派生した様々な種類の舞台作品のことであり、現在まで約400年もの間、創作され、上演され、世界中の人々に受容されてきました。日本語では歌劇と訳されていましたが、現在ではほとんどそのままオペラと呼ばれています。
オペラは、歌唱を主要な表現手段とする劇です。基本的にその台詞(セリフ)はすべて歌われます。劇であることから舞台上の人物は、その本人ではなく、ある役柄を演じることになります。劇の登場人物を演じる者は、その作品の大部分の台詞を歌詞として歌うことから、役者ではなく歌手がその役を担います。実際に歌うことで登場人物同士が対話をし、またはその心情を聴衆に訴えます。なぜ歌うのかは問われないことから、聴衆との間でそれが虚構の世界であることが了解されているのです。
オペラの歌唱においては、イタリアのベルカント唱法をその価値基準の頂点として、頭声を主とする声楽が用いられます。この意味では、オペレッタもオペラの一種ですが、オペレッタはオペレッタとして一つのジャンルを築いています。また、この声楽的な特徴から、ミュージカルはオペラではないと言えます。
オペラは、音楽、文学、演劇、舞踊、美術などの芸術的な要素を同時に含む総合芸術です。劇ではあるものの、その台本を創作した作家の作品として認識されるのではなく、その歌唱部分やオーケストラで演奏される音楽の部分を作曲した作曲家の作品として認識されることから、音楽的要素が重要視されています。文学的要素として、オペラの題材は伝説、神話、民話から小説まで広く採用されます。また一般に、歌詞としては韻文が用いられています。基本的に劇中の登場人物により物語が進行し、司会役の語り手は存在しません。舞台上の歌手は、歌唱だけでなく、演劇的要素として演技の技術も問われます。また、作品によってはバレエなどが挟み込まれ、舞踊的要素を持つこともあります。舞台には物語の時代、背景などを視覚的に再現したセットが組まれ、登場人物は衣裳に身を包み、美術的要素が求められます。
イタリアで生まれたオペラは、特にその歌唱技術を発展させ、ヴェルディやプッチーニが傑作オペラを残しました。ドイツ、フランスにおいて各国の言語、文化による特徴を持ったオペラが求められ、ドイツではワーグナーやR.シュトラウス、フランスではマスネなどによって、それぞれ新しいオペラが創作されました。また、ロシア、チェコなどでは、国民オペラとして独自性が追求されてきました。やがてイギリス、アメリカ、日本においても新作オペラが発表されるようになりました。
オペラの上演のためには、特別な機構を有するオペラハウス(歌劇場)を必要とし、ヨーロッパの各都市、あるいは現在では世界中の都市にオペラハウスが存在します。オペラハウスの多くは、専属の歌手、オーケストラ、合唱団、バレエ団などを持ち、その他の劇場スタッフとともに芸術監督の下、指揮者、演出家に統率されて公演を実施しています。
オペラハウスにおけるオペラ公演では、新作オペラや過去のオペラ作品が再演されて観衆に提示されます。現在では、オペラハウスで制作されたオペラが録音、録画、配信されることによって鑑賞の機会が広がっています。こうした公演やそれらの記録映像等は、評論家によって批評され、オペラ作品そのものやオペラ公演それ自体が評価を受けることになります。
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