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Příhody Lišky Bystroušky
The Cunning Little Vixen
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【作曲】
レオシュ・ヤナーチェク 1921~1923年に作曲
【初演】
1924年11月6日 ブルノ、国民劇場
【台本】
作曲者が原作を基に作成(チェコ語)
【原作】
ルドルフ・チェスノフリーデクの小説『女狐ビストロウシカ』
【演奏時間】
第1幕 25分
第2幕 35分
第3幕 30分 合計 約1時間30分
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【時と場所】
1920年頃、ブルノ近くの森
【登場人物】
ビストロウシカ(S): メスの美しいキツネ
オスのキツネ(Ms)
森番(Br)
ハラシタ(Br): 行商人
雄鶏、雌鶏(Ms)
アナグマ(Bs)
カエル(boy S)
ほか
【第1幕】
時は真夏の午後、舞台は渓谷の森。キツネの娘ビストロウシカが一匹のカエルを捕まえようとすると、驚いたカエルは、居眠りをしていた森番の鼻の頭に跳び上がったので、森番は目を覚まし、そのときに見つけたビストロウシカを捕らえ、彼の小屋に連れてきました。ビストロウシカが小屋につながれているところに、雄鶏に率いられた雌鶏たちが人間にうまく従うように説きます。ビストロウシカは、彼ら彼女らに次々と襲いかかり、その騒ぎの中、綱をかみ切って森に逃げました。
【第2幕】
森に戻ったビストロウシカは、アナグマから住まいを奪い、自分の家を手に入れます。さらにオスのキツネと出会います。彼は美しい女狐が自由で独立している姿に感心しました。二匹のキツネは結婚することになりました。
【第3幕】
キツネの夫婦は、何匹もの子ギツネに囲まれています。ある行商人がカゴいっぱいのニワトリを抱えて現れると、ビストロウシカはこの行商人をおびき出し、坂から転げ落とします。彼が戻ったとき、彼のカゴの中のニワトリは、子ギツネにみんな食べられていました。怒った行商人は、ビストロウシカに狙いを定め、一発で撃ち抜きました。
ある日、森番が居眠りから目を覚ますと、ビストロウシカそっくりの子ギツネが目の前に現れたので、それを捕まえようとします。しかし実際に手に握ったのは、一匹のカエルでした。その蛙は、かつてビストロウシカを捕らえたときに鼻の頭にのったカエルの孫だったということでした。
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【1】 絵、小説、そしてオペラ
ヤナーチェクの後期オペラの傑作群は、どのオペラも他と異なる種類のテーマ、題材を扱っており、飽きさせません。7作目にあたるこのオペラ『利口な女狐の物語』は、森を舞台とした女狐の物語として、人間と動物たちの世界を描いたファンタジー・オペラです。ヤナーチェクが購読していた新聞に、プラハの画家スタニスラフ・ロレックの動物画が挿絵として掲載されることとなり、その戯画に、新聞社のスタッフで作家のルドルフ・チェスノフリーデクが散文で物語をつけ、1920年かrから新聞連載が始まりました。これを基にヤナーチェク自身が台本を作成し、オペラとして作曲されたのが『利口な女狐の物語』です。
【2】 チェコのモラヴィア地方の自然
ヤナーチェクは晩年にこの『利口な女狐の物語』を含むオペラを作曲しましたが、それまでは地元ブルノで音楽教育に携わり、また、音楽雑誌の編集長などをしていました。そのとき、民俗学者フランティシェク・バルトシュとともに、モラヴィア地方に伝わる民謡を集め、研究していました。こうしてヤナーチェクは、民謡に見られる言葉の抑揚と音、旋律、リズムの関係を体得します。また、ヤナーチェクはこのオペラの作曲中、毎朝6時に起きて、公園で鳥の声や木々のざわめきなどの自然界の物音を聞いて研究を重ねたそうです。こうしてモラヴィア地方色の豊かなオペラが誕生しました。
【3】 限りある生命
タイトルロールのビストロウシカだけでなく、犬、アナグマ、鶏、カエルなど動物・小動物たちが次々と登場しますので、その舞台は多くの見どころを提供してくれます。演出にとっても自由度が高く、様々な舞台が創作されます。音楽的には、第2幕後半でビストロウシカとオスのキツネの二重唱から結婚祝いまでの印象的な場面には豊かな音楽が施されており、評価が高いことで知られています。なお、第3幕のラスト、森番が歌い、カエルが世代の交代を示す場面は、限りある生命とそれが繰り返される自然の理というヤナーチェクの死生観が表現されています。
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【CD】
マッケラス指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団
ポップ(S) ランドヴァー(Ms) イェドリチカ(Br) ズィーテク(Br)
(録音1981年、DECCA) |
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マッケラスとウィーン・フィルによるヤナーチェクのオペラ・シリーズ。マッケラスの確かな演奏。リブレットに、物語の基になったロレックの50の戯画が掲載されているのがうれしい。
【DVD】
マッケラス指揮、ハイトナー演出
パリ管弦楽団、パリ・シャトレ座合唱団
ジェニス(S) ミニュティヨ(S) アレン(Br) クスニエル(Bs)
(録画1995年、Arthaus Musik) |
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パリ・シャトレ座のライブ盤。マッケラスを招聘し、成功している舞台。第2幕の真っ赤なベッドが印象的です。最終場面のトーマス・アレンの歌唱も良い。
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