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【作曲】 ジュール=エミル=フレデリク・マスネ(1887年)
【初演】
1892年2月16日 ウィーン、宮廷歌劇場(ドイツ語)
1893年1月16日 パリ、テアトル・リリック(フランス語)
【台本】
エドゥアール・ブロー、オール・ミリエ、ジョルジュ・アルトマンの共作(フランス語)
【原作】
ヨハン・ウォルフガング・フォン・ゲーテ小説『若きウェルテルの悩み』
【演奏時間】
第1幕 40分
第2幕 30分
第3幕 40分
第4幕 20分 合計 約2時間10分
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【時と場所】 1780年代、ドイツ
【登場人物】
ウェルテル(T): 若き詩人
シャルロット(Ms): 母を亡くした長女
アルベール(Br): シャルロットの婚約者
ソフィー(S): シャルロットの妹
ウェツラーの大法官(Bs): シャルロットの父
ほか
【第1幕】
時は1780年代、舞台はドイツの田舎町ウェツラー。この地の大法官の娘シャルロットは、母を亡くした後、弟妹たちの世話をしています。
7月のある晩のこと、シャルロットは婚約者アルベールが旅行でいなかったため、若き詩人ウェルテルと舞踏会に行くことになります。ウェルテルはシャルロットが弟妹たちを世話する優しさに心を動かされます。舞踏会からの帰り道、月明かりに照らされながら、ウェルテルはシャルロットに愛を告白しました。しかし、彼女は亡き母の望みでアルベールと婚約していることを伝えたのでした。
【第2幕】
9月、結婚したシャルロットとアルベールは、村の牧師の金婚式に出席しています。その二人の姿を見て動揺するウェルテル。シャルロットの妹ソフィーがいっしょに踊ろうと言いますが聞く耳を持ちません。彼はシャルロットと二人になると、自分の想いをぶつけます。しかし、シャルロットはひとまずクリスマスまでこの地を離れるようにと彼に言いました。
【第3幕】
そして、12月24日のシャルロットの家。アルベールが留守にしているところにウェルテルが現れます。シャルロットは自分の感情を抑えて無関心を装いますが、ウェルテルは「オシアンの詩」に託して愛を告白し、彼女を抱き寄せます。シャルロットはそれを振り払って隣の部屋に立ち去りました。ウェルテルは絶望し、帰っていきます。
【第4幕】
その日の夜、シャルロットは不吉な予感とともにウェルテルの家に急ぎ駆けつけます。そこにはピストルで自らを撃った瀕死のウェルテルが倒れていました。助けを呼ぼうとするシャルロットをウェルテルは制止します。二人は抱き合い、とうとうシャルロットも彼を愛していたことを認めます。しかし、ウェルテルは死を待つのみです。自分の墓をひそかに訪れるひとりの婦人のことを思いながら、彼は目を閉じたのでした。
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【1】 原作はゲーテの『若きウェルテルの悩み』
このオペラ『ウェルテル』の原作は、あの有名なゲーテの小説『若きウェルテルの悩み』です。物語は実話で、前半部分はゲーテ本人がモデル、後半部分のピストル自殺をするエピソードはゲーテの知人がモデルだったそうです。この小説は18世紀後半にヨーロッパ中のベストセラーとなり、その100年後、マスネがオペラにします。
【2】 マスネの美しい音楽
作曲者のマスネは、フランスのオペラ作曲家として、オペラ史の中でも重要な作曲家のひとりです。作風は、どこまでも美しい音楽が特徴で、甘美なメロディーと和音にあふれています。そのマスネが、ゲーテの恋愛小説を見事にオペラ化したのです。オペラを観るにしても、やはり美しい音楽を聴きたいという人に、ぜひおすすめの作品です。
【3】 ウェルテル役とシャルロット役
多感な詩人ウェルテルを歌うテノールには、ただ高い声が出るだけではなく、端正で繊細な表現が必要とされます。ウェルテルが第3幕で歌うアリア「春風よ、なぜ私を目覚めさせるのか」は、とても美しい曲です。対するシャルロット役はメゾ・ソプラノが歌います。ソプラノではないのは、弟妹を世話する姉という優しく落ち着いた雰囲気を大切にしたからではないでしょうか。
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【CD】
ナガノ指揮
リヨン国立歌劇場管弦楽団、合唱団
ハドリー(T) フォン・オッター(Ms) テリュエル(Br) アップショウ(S)
(録音1995年、ERATO) |
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ウェルテル役のハドリーが、いろいろな感情を声で表現しています。フォン・オッターの巧みな歌唱と合わさって、味のある仕上がりとなりました。テリュエルとアップショウ等の脇を固める歌手たちも堅実で、全体としてもまとまっています。
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