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                  | 【作曲】
 アルバン・ベルク(1914〜1921年)
 
 【初演】
 1925年12月14日 ベルリン国立歌劇場
 
 【台本】
 作曲者ベルク自身による(ドイツ語)
 
 【原作】
 ゲオルク・ビュヒナーの戯曲『ヴォイツェック』
 
 【演奏時間】
 第1幕 40分
 第2幕 35分
 第3幕 25分  合計 約1時間40分
 
 
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                  | 【時と場所】
 19世紀初頭、ドイツ
 
 【登場人物】
 ヴォツェック(Br): 兵士
 マリー(S): ヴォツェックの内縁の妻
 鼓手長(T): マリーの愛人
 アンドレス(T): ヴォツェックの友人
 大尉(T): ヴォツェックの上官
 医者(Bs): 実験をする医者
 ほか
 
 【第1幕】
 時は19世紀初頭、舞台はドイツ。理髪師あがりの兵士ヴォツェックは、上官である大尉の髭を剃っています。ヴォツェックは兵士仲間のアンドレスと一緒にいても、幻覚を見ておかしな気分になりました。そんなヴォツェックの錯乱した様子に、彼の内縁の妻マリーは不安を感じていました。ヴォツェックは、医者に幻覚を見ることについて話します。一方のマリーは、軍の鼓手長に誘われ、彼を家の中に招き入れました。
 
 【第2幕】
 マリーが鏡の前で、鼓手長からもらった耳飾りを見ていると、ヴォツェックが、それは何かと尋ねました。彼女は拾ったと言いますが、2つ一緒に拾ったのかとヴォツェックは疑います。ヴォツェックは市内を歩いているときに大尉と医者に会いますが、彼らはヴォツェックに、マリーと鼓手長の関係をほのめかしました。
 ヴォツェックは家に戻ってマリーに問いただしますが、彼女ははぐらかします。そこでヴォツェックは彼女を殴ろうとします。そのときマリーは、手でぶたれるよりナイフで刺される方がまし、と言い放ちました。
 
 【第3幕】
 日暮れ時、池のほとりを歩いていたヴォツェックとマリー。不吉な予感からマリーは早く市内に戻ろうとしますが、ヴォツェックはナイフを取り出し、月夜にマリーを刺し殺しました。
 酒場に入ったヴォツェックは、そこで腕に血が付いていることを指摘されます。池のほとりまで戻ってきたヴォツェックは、マリーの死体につまずきました。ヴォツェックはそこにあったナイフを拾って、それを池の中に捨てます。錯乱した彼は自ら浴びた血を洗おうと池に入っていき、そのままおぼれ死にました。あとには、マリーの子だけが残されたのでした。
 
 
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                  | 【1】 アルバン・ベルクの代表作
 
 ベルクは、1914年5月にウィーンでゲオルク・ビュヒナーの戯曲『ヴォイツェック』の上演を見て、これをオペラ化することを決めました。1915年から第一次世界大戦に従軍した後、1918年頃から作曲を再開し、1921年4月に完成しました。兵役の経験は、ベルクがこのオペラの主人公ヴォツェックに共感を深めるきっかけになったのでしょうか。1925年にベルリンで初演された後、プラハ、レニングラードで上演され、1929年3月、オルデンブルクで上演されるとこのオペラは世界的に広まりました。
 
 【2】 3幕で計15の場面
 
 ヴォツェックという名は、本来は「ヴォイツェック」だったのですが、原作の手稿が読みづらく、ヴォツェックと写し間違えられて出版されたそうで、ベルクもこれを元に台本を書きました。ヴォツェック(ヴォイツェック)は情婦を殺害して死刑となった実在した人物で、医師であった原作者ビュヒナーはこの症例に関心を持ち、これを戯曲としました。ベルクはこの戯曲を3幕のオペラにまとめるため、バロックから近代までの作曲技法を駆使して作曲しました。第1幕の5つの場面は、5人の主要な登場人物を紹介しています。第2幕の5つの場面は、5つの楽章からなる交響曲として音楽的な構成を持っています。第3幕も5つの場からなり、3幕で計15の場面が効果的に入れ替わり、客席を舞台に引き込みます。
 
 【3】 無調の音楽が表現する世界
 
 音楽は無調の現代音楽ですが、ベルク自身が言っているとおり、調性という手段を用いずに、どうやって音楽的な統一を生み出すのか、上記のとおり、15の場面の使い方など、その答えがオペラ『ヴォツェック』に凝縮されています。その点でこのオペラは、ベルクの洗練された作曲技法について、音楽学者にとっては分析しがいのある音楽です。とはいえ、これもベルクが言っていることですが、私たちがオペラを鑑賞するときに、この難しい作曲技法を意識することなく、そこに現れるドラマをそのまま鑑賞すれば、時代の不安感といったような表現が、リアリティをもって私たちに迫ってくるものです。
 
 
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                  | 【CD】
 
 
                    
                      
                        | アバド指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 グルントヘーバー(Br) ベーレンス(S) ラファイナー(T)
 (録音1987年、Deutsche Grammophon)
 |  |  |  ウィーンでの公演が大好評で、そのままライブ録音された名盤。指揮者のアバドとウィーン・フィルのコンビでは、このディスクが初めてのオペラ録音となりました。
 
 
 【DVD】
 
 
                    
                      
                        | バレンボイム指揮、シェロー演出 ベルリン・シュターツカペレ
 グルントヘーバー(Br) マイアー(S) ベイカー(T)
 (録画1994年、Warner Music)
 |  |  |  ベルクの『ヴォツェック』は名作だけあって名盤が多くある中、この1994年のパトリス・シェロー演出のこの舞台も高い評価を得ました。センスのよい舞台で、グルントヘーバーとマイアーの両者が好演しています。
 
 
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