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前頁の1.では、「歌劇」の「歌」と「劇」をキーワードにしてみました。「歌」を歌うのも、「劇」を演じるのも、やはり歌手の力量に左右されます。そこでこの頁では、「オペラ歌手」をキーワードに「オペラの楽しさ」を紹介したいと思います。
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オペラ歌手のことをスポーツ選手と同じように考えてみましょう。例えば、サッカーを例にしてみますと、世界にはスター選手がたくさんいますよね。ベッカム、ジダン、ロナウド・・・。こういった選手が日本に来たときにプレーを見ると、その技術の高さにたいへん驚かされます。
これはオペラでも同じ。世界で活躍するスター歌手が日本にやって来て、その歌声を聴くことができるのです。これはもう本当に贅沢。きっとその超一流の声に圧倒されると思います。
話をサッカーに戻してみますが、今度は「日本人」のサッカー選手。彼らが海外のチームで活躍することがあります。そんなニュースを聞くと、私たちもワクワクしますよね。
日本人のオペラ歌手の中にも、海外で活躍している人はたくさんいます。そして、たまに日本に帰ってきたときに、その実力を聴くことができます。これは、なかなかうれしいことです。
注目すべきは海外で活躍しているオペラ歌手だけではありません。日本で地道に活動していて、まだ見出されていない歌手もいます。そういうオペラ歌手を独自に見つけて、その人がステップアップするのを見守っていくことも、楽しみのひとつです。
オペラ歌手を「追っかけ」て、オペラにハマってしまう人も多いのです。
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「オペラ歌手」について、一つだけ補足します。オペラを楽しめないという人には、次のような人がいるかもしれません。「いくら素敵な恋の物語でも、太っているおじさん歌手、おばさん歌手が演じたら、幻滅してしまうわ・・・」
確かに、マイクなしで劇場の隅から隅まで声を届かせるためか、体格のいいオペラ歌手は多いようです。楽しめない人の気持ちもわかります。外見に関する感覚は人それぞれ異なるので、その思いを変えるのはなかなか難しいとも思いますが、参考までに少しだけ、それでもオペラの楽しさを味わえる考え方を紹介します。
まず誤解してほしくないのは、ルックスやスタイルが抜群のオペラ歌手も「いる」ということです。それで歌と演技の実力を兼ね備えていれば、もう、すぐにスターの仲間入り。最近の若い歌手は、結構みんな綺麗で(かっこよくて)、実力もあります。
例えば、ロシア出身のソプラノ歌手アンナ・ネトレプコは、最近注目されている若手歌手。歌よし、姿よしで人気があり、彼女が2005年のザルツブルク音楽祭で『椿姫』を歌ったとき、オーストリア放送のテレビ中継は、視聴率29%にも達していたそうです。
また、ポスト3大テノールのひとりとして、真っ先に名前を挙げられるロベルト・アラーニャは、すばらしい声とともに、その甘いマスクが女性に評判です。その上、彼はこれまた美貌のソプラノとして大活躍しているアンジェラ・ゲオルギュウと結婚していて、オペラ界の夢のカップルと呼ばれ、二人で同じオペラに出演したりしています。
このほかにも多くの若手がデビューして、話題となっています。ですので、まずは若手のオペラ歌手に注目してみるといいでしょう。きっとお気に入りのオペラ歌手が見つかります。そして、その歌手が出演しているオペラを観るようにすれば、次第にオペラ全体にも興味が移ってくるはずです。
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加えてもう一つ、上記の考え方とは少し異なるのですが、オペラの本質をとらえて、オペラ歌手の「見た目」について考えてみます。
これは一つの考え方なのですが、オペラというものは「真実」を追求するものです。
確かにテレビドラマや映画に出てくるカップルは、みんな美男美女ぞろいですよね。それで、これでもかというような恋愛物語が展開されます。でも、現実にはそんな理想のカップルばかりではないはずです。
オペラでも、もちろん見た目の美しさは重要です。でも、オペラはそういう表面的なことを楽しむだけのものではないのです。中身の濃さが求められます。
人間の内面から醸し出す仕草や、または立派な行動から、美しく魅せる人、美しく生きている人、あなたの周りにもいませんか。
オペラはそういう意味の真実の「美しさ」を追求する芸術なのです。
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オペラの「楽しさ」とは何かを考えてきました。まとめてみると
(1) 歌手の技を堪能する「歌」
(2) 物語の意味を問う「劇」
(3) 「歌」と「劇」を担う「オペラ歌手」
となります。
これらのポイントを押さえて、オペラを鑑賞してみるのはいかがでしょうか。
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