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むすびにかえて






オペラはわからないものか?

よくクラシック音楽については、「何がいいんだかわからない」「難しそう」「退屈しそう」などなど、取っつきにくいイメージを聞きます。さらにオペラと言えば、高級そうで、近寄りがたい・・・そんなイメージを持っている人も多いはずです。
 
さて、クラシック音楽、そしてオペラは、本当にそんなにわからないものなのでしょうか。
 
例えば、野球観戦を例にしてみましょう。いまやサッカー人気に押され気味とはいえ、日本には野球ファンが多いですよね。誰でも、テレビでのんびり楽しむことができています。
 
けれど、よく考えてみてください。野球のルールって、難しくないですか。
 
投げて、打って、走る・・・だけではないですよね。こうなった場合は、あっちに走らなくてはならない、ああなった場合はこっちに投げなければならない・・・実に複雑で、知的なスポーツです。
 
クラシック音楽といえど、所詮、演奏者が音を出しているだけです。けれど、野球と同じように、ルールがあります。約束事があります。でも、その約束事というのは、野球をテレビの前で横になりながら見ていて次第にルールがわかっていくように、クラシック音楽もCDラジカセの前で横になって聴いていれば、次第にわかってくるようなものなのです(眠ってしまわなければ・・・)。
 
ルールがわかってしまえば、こちらのもの。野球と同じように、その複雑さを意識することなく、知的に演奏を楽しむことができます。
 
 
クラシック音楽は、とても奥が深いものです。ですから、手の届かないようなわからないこともあります。また、野球に例をとってみましょう。
 
ピッチャーが投げる。バッターが打つ。そしてそれがホームランなら誰が見てもすごいと思うはず。
 
クラシック音楽でも、奏者が楽器を奏で、歌手が歌を歌い、ホームランのような演奏が飛び出したときは、誰もが感動するはずです。これは理屈ではありません。
 
けれど、野球中継を見ていると、解説者の人がこんなことを言うときがありますよね。「誰々投手は今、外角にスライダーを投げました。次は内角にストレートですね。バッターはそれを狙っています」
 
こういうのは、野球の初心者ではわかりません。でも、よく野球を見ている人なら次第にわかってくることかもしれません。
 
クラシック音楽も、そういった種類の知識、その知識を動員した「見極める目」、音楽だから「耳」でしょうか・・・「見極める耳」・・・これが必要となってきます。
 
ただこの「見極める耳」は次第に養われていくものです。すぐに手の届くものではありません。クラシック音楽の悪いところは、この「見極める耳」を持った一部のファンが、それを誇示するところにあるのかもしれません。そうして、クラシック音楽を、みんなから遠ざけてしまっているのかもしれません。本当は自分流の「見極める耳」で自分流に楽しめればいいのものなのです。
 
 
2006年3月21日(現地時間20日)、第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は決勝戦を行い、日本は10対6でキューバを破り、王ジャパンが初代王者に輝きました。ちょうどこのとき、新国立劇場ではヴェルディの『運命の力』の開演時間が迫っているところでした。新国立劇場には1階ロビーのテレビモニターに野球中継が映し出され、その前は大きな人だかりができていました。ぎりぎり開演時間前に優勝が決定して、みんな急いで席に着いたものです・・・。
 
 
最初は、ホームランを見てすごいなと思う気持ちだけでいいのです。いい音楽を聴いて、いい歌を聴いて、それに驚くところから始まります。これは簡単なことです。コンサートホール、オペラハウスに足を運べばきっと体験できることでしょう。
 
クラシック音楽、そしてオペラは決してわからないものではありません。体験できれば「わかる」ものです。そして、もしもっと知りたいことが出てきたときに、この「わかる!オペラ情報館」がお役に立つことができればいいな、と思っています。
 
 ・・・さあ、あなたもオペラを観に行ってみませんか。
 
 
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