2023年新刊
名作オペラをやさしく解説
面白いほどわかる!
オペラ入門
名アリア名場面はここにある
神木勇介 著
青弓社 発行
定価1,800円+税
詳しくはこちら
|
オペラのことをいちから学ぶ
声、歌、音楽、演出について
オペラ鑑賞講座 超入門
楽しむためのコツ
神木勇介 著
青弓社 発行
定価1,600円+税
詳しくはこちら
|
「オペラ情報館」が
本になりました
オペラにいこう!
楽しむための基礎知識
神木勇介 著
青弓社 発行
定価1,600円+税
詳しくはこちら
|
|
オペラでは幕間に休憩時間があります。せっかくのオペラ鑑賞ですから、ここでも楽しんでおきましょう。だいたい1回の休憩が20分から30分です。長いですよね。やはり舞台に出ずっぱりの主役級の歌手にとっては喉を休ませなければなりませんし、大がかりな舞台を転換するために時間が必要な場合もあります。そのため、例えば長いオペラで休憩50分ということも稀ですがあります。こういうときは、チケットの半券を持ってレストランで食事をすることができる、というようにわざと長く休憩を取ってあるのです。
場合によっては、例えば4幕もので、つまり3回休憩があるところですが、1,2幕と3,4幕の間に1回だけ休憩にするというように、回数を減らすことがあります。ストーリーの勢いを止めないために、一気に見せてしまおうという演出上の意図があります。また、全一幕のオペラには、当然ながら休憩時間はありません。
休憩時間には多くのホール・劇場にブッフェがあり、ドリンクや軽食などが用意されています。だいたいお茶やソフトドリンクが500円前後、ワイン、シャンパンなどアルコール類が1000円前後となっています。オペラに酔って、お酒に酔って、最高かもしれませんね。
また、ロビーにはショップが並び、ホール・劇場の関連グッズや、その日に出演している歌手のCD、DVDなどが販売されていることもあります。
さて、ここで長い休憩時間を持て余したら、少しロビーを歩いてみましょう。オペラを観に来ている人の中には、有名人がよくいるんですよ。あら、あの人テレビでよく見る・・・とか、あの外国人は有名オペラ歌手の・・・とか、よくよく見るといろんな人を見かけるかも知れません。あ、でも、声を掛けるのはもちろん止しておきましょう。みんな私たちと同じようにプライベートでオペラを楽しんでいるのですから。あくまでチラッと、わからないようにチラッと見るだけですよ。
さあ、それではまた休憩の終わる5分前には席に着くようにしましょう。ホール・劇場によっては女性の化粧室にかなりの列ができることもあります。その点も注意しておきましょう。
|
カーテンコールでは、一幕ごとに、幕が下りた後、主要なキャストが出てきて拍手をもらい、また、そのオペラの上演が終わったときは、キャストは一人ずつ舞台に出てきて挨拶をしながら客席から大きな拍手をもらいます。
ですから、オペラが終わっても、まだ終わりではないのです。それまで全力を尽くした出演者や裏方の人に対して、客席の感動を伝えるために拍手で応えます。オペラでは、大声で「ブラヴォー!」と叫ぶ人もいます。
さて、このとき、ちょっとした楽しみがあります。カーテンコールで一人ずつ歌手が挨拶に出てくるわけですが、客席からの拍手の大きさに差があるんですね。最初は端役から出てきますから、まあ、普通の拍手。でも、中には端役なのに、その存在感によってオペラの成功に貢献したと客席に評価されて、大きな拍手や笑いをもらう歌手もいます。
そして、次第に主役級の歌手が出てきて、最後にタイトルロール(オペラの「題名」になっている役、例えば『蝶々夫人』、『ドン・ジョヴァンニ』など)が出てきます。必ずしも、最後にいくにつれて拍手が大きくなるわけではありません。すばらしい活躍をした歌手には特に大きな拍手があります。
このときの拍手でわかる自分の評価との一致やズレはとてもおもしろいものです。大きな拍手が起こったら、自分もこの歌手がいいと思っていた、とか。逆に、大きな拍手が起こった歌手を、自分はあまり気に入らなかった、とか。自分が一番すばらしいと思った歌手は、そんなに拍手をもらえなかったというときもあるかもしれません。
自分の評価や分析が、客席全体からどのくらい近づいているのか、離れているのか、感覚的にわかると思います。別にみんなと同じでなくていいのです。自分がどう思ったかは大切しておきましょう。もしかしたら、他の人が感じた良さを自分がつかみ損ねたのかもしれません。逆に、多くの人が気付かないけれども、自分だけが見抜いたすばらしさもあることでしょう。こうして例えばいっしょに行った人と、あの歌手は良かった、あの歌手はもう少しだったと話すのはとても楽しいことです。
|
オペラから帰ってきたら、その公演の評価を見聞きしてみるのもいかがでしょうか。そのオペラ鑑賞を思い出すことができて楽しいかもしれません。
オペラはクラシック音楽の中でも大規模で花形のジャンルなので、音楽雑誌、例えば『音楽の友』や『モーストリー・クラシック』などには、写真付きで大きく紹介されることが多くあります。あとで写真でゆっくり舞台を見ると、感じが違って見えることもあります。
最近では、各オペラ団体が、自分たちのサイトに公演記録を掲載することが多くなりました。これらのサイトからも写真などを見ることができます。
また、新聞の批評欄に音楽評論家の人が評を載せることもあります。最近は、スペースが小さいからか、あれは良かった、これは良くなかった、と言っておしまいになっていて、評論の体を成していないものが多く見受けられますが、私たちのオペラの見方とは異なった興味深い指摘をしてくれることもあります。見つけたら、ぜひ読んでみてください。
インターネットにも、多くの感想が寄せられています。ブログに書いている人が多いですね。公演後しばらくしたら検索してみると、いろいろな感想を読むことができると思います。私、神木も、鑑賞したオペラの感想をブログで公開しています。時々、見知らぬ人からコメントを頂くことがありますが、同じオペラを観て、感動を共有できるのは、とてもうれしいことです。
それともう一つ、今回鑑賞したオペラと同じタイトルのCDやDVDを買って鑑賞してみるのもおもしろいと思います。きっと全く違う演出に驚くことでしょう。そこに好き嫌いが大きく現れるかもしれません。でも、そうして全く違うものに出会うことによって、自分の好みがわかってくるんですよね。
一つのオペラを観て、そのオペラの何通りものCD、DVDばかりを買ってしまうこともあるかもしれません。なぜなら、同じオペラなのに、全部が違うのです。こうしてそのオペラにどんどん詳しくなっていきます。そうした体験や知識の積み重ねは、また別のオペラを鑑賞するときにもきっと役に立つはずです。オペラ自体に対して、いろいろな見方ができるようになっているからです。
|
|